平成26年度 上期 学科試験 問40 解説 電気事業法
電気事業法において、一般電気事業者が行う一般用電気工作物の調査に関する記述として、適切でないものは。
- イ. 一般電気事業者は、調査を登録調査機関に委託することができる。
- ロ. 一般用電気工作物が設置された時に調査が行われなかった。 ✓ 正答
- ハ. 一般用電気工作物の調査が4年に1回以上行われている。
- ニ. 登録点検業務受託法人に点検が委託されている一般用電気工作物についても調査する必要がある。
解説
この問題は電気事業法における「一般電気工作物の調査義務」に関する理解を問うものです。正誤を判断するポイントは「調査のタイミング」と「実施主体」の法的ルールを照らし合わせることです。
調査義務の基本ルール
一般電気事業者は、その供給区域内の一般電気工作物が技術基準に適合しているかどうかを調査する義務を負います。この調査には大きく分けて「設置時」と「定期」の2つの側面があります。
- 設置時等の調査:一般電気工作物が設置された時(または改修された時)、技術基準に適合しているか調査しなければなりません。
- 定期的な調査:一般電気工作物(住宅の屋内配線など)について、4年に1回以上の頻度で調査を行う必要があります。
選択肢ロにある「設置時に調査が行われなかった」という状況は、法が定める保安上の義務に違反しているため、適切ではない(誤りである)と判断できます。
誤答を排除する思考プロセス
まず、各選択肢が「電気事業法第57条(一般電気工作物の調査)」の規定と合致しているかを確認します。
・イ:一般電気事業者は調査業務の一部または全部を、経済産業大臣の登録を受けた「登録調査機関」に委託することが認められています。したがって、これは適切です。
・ハ:定期調査の頻度は「4年に1回以上」と定められています。したがって、これは適切です。
・ニ:たとえ一般消費者が登録点検業務受託法人(保安協会など)に点検を委託している場合であっても、一般電気事業者側の法的な調査義務そのものが免除されるわけではありません。電気事業者の保安責任は基本として存在するため、これも適切です。
・ロ:設置時や改修時の調査は、使用開始後の事故を未然に防ぐための重要なプロセスです。ここを疎かにすることは法的に許容されないため、これが「適切でないもの」となります。
実務における保安体制の重要性
この問題の教育的意図は、単に法律の文言を暗記させることではなく、電気の安全を担保する「重層的な責任構造」を理解させることにあります。
実務において、一般電気工作物の安全は、電力会社(一般電気事業者)による定期的な調査と、ユーザー側の自主的な点検、あるいは専門機関による点検の組み合わせで成り立っています。例えば、高圧受電設備を持つ需要家と異なり、一般的な住宅では個別の点検契約をしていないケースが多いため、一般電気事業者による調査が保安の最後の砦となります。
この知識は、将来的に電気工事士として現場に出た際、なぜ工事完了後に厳しい検査が必要なのか、あるいは顧客から「なぜ電力会社が定期的に調査に来るのか」と聞かれた際に、法的な裏付けを持って説明するために不可欠な教養となります。