平成27年度 筆記試験 問1 解説 電線の抵抗値
電線の抵抗値に関する記述として, 誤っているものは。
- イ. 周囲温度が上昇すると, 電線の抵抗値は小さくなる。 ✓ 正答
- ロ. 抵抗値は, 電線の長さに比例し, 導体の断面積に反比例する。
- ハ. 電線の長さと導体の断面積が同じ場合, アルミニウム電線の抵抗値は, 軟銅線の抵抗値より大きい。
- ニ. 軟銅線では, 電線の長さと断面積が同じであれば, より線も単線も 抵抗値はほぼ同じである。
解説
金属の電気抵抗は、一般的に温度が上昇すると大きくなるという性質があります。したがって、「温度が上昇すると抵抗値は小さくなる」と述べた選択肢イが誤りです。
抵抗を決める物理的要因
導体の電気抵抗 は、以下の公式で表されます。 ここで、 は導体の抵抗率 、 は長さ 、 は断面積 です。
この式から、抵抗値は長さに比例し、断面積に反比例することがわかります。試験では、この基本式をベースに「温度」「材質」「構造」の3つの要素を組み合わせて正誤を判断させます。
選択肢を分析する思考プロセス
各選択肢を検討する際、以下の観点でチェックを行います。
- イ:金属は温度が上がると、内部の原子の熱振動が激しくなり、自由電子の流れが阻害されます。その結果、電気抵抗は増加します。この基本原則を覚えていれば一瞬で判断可能です。
- ロ:上記の公式 の定義通りであり、正しい記述です。
- ハ:抵抗率は物質固有の値です。軟銅の抵抗率は約 、アルミニウムは約 です。アルミニウムの方が大きいため、同じ条件であればアルミニウム電線の抵抗値は軟銅線より大きくなります。
- ニ:より線は細い素線を束ねたものですが、全体の断面積 が同じであれば、電流が通る断面積は単線と同じです。そのため、抵抗値はほぼ同等となります(厳密にはより線の隙間分、わずかに外径が大きくなるなどの違いはありますが、試験の計算上は同じとして扱います)。
電気設計における抵抗値の重要性
この知識は、現場での電圧降下計算や過熱対策に直結します。 例えば、夏場の高温環境下では電線の抵抗値が冬場よりもわずかに高くなります。もし計算の前提温度を低く見積もっていると、実際の電圧降下が予想を超え、末端の機器が動作不良を起こす可能性があります。また、より線と単線の特性を理解しておくことは、配線の施工性や端子台への接続における選定ミスを防ぐために欠かせません。この問題は、理論的な公式を実務的な設計条件へと結びつけるための基礎を問うています。