平成27年度 筆記試験 問9 解説 負荷率と需要率
図のような日負荷率を有する需要家があり, この需要家の設備容量は375kWである。 この需要家の,この日の日負荷率a[%]と 需要率b[%]の組合せとして,正しいものは。
- イ. a:20 b:40
- ロ. a:30 b:30
- ハ. a:40 b:30
- ニ. a:50 b:40 ✓ 正答
解説
この問題を解くには、負荷曲線から「最大電力」と「1日の消費電力量(平均電力)」を読み取り、以下の2つの定義式に当てはめます。
日負荷率[%] = (平均電力 / 最大電力) × 100 需要率[%] = (最大電力 / 設備容量) × 100
図の負荷曲線(階段状のグラフ)が「0〜6時に150kW、6〜12時に25kW、12〜18時に100kW、18〜24時に150kW」であると読み取ると、計算手順は以下の通りです。
最大電力の特定 グラフの最大値は 150kW です。
平均電力の計算 1日の全電力量は (150×6) + (25×6) + (100×6) + (150×6) = 900 + 150 + 600 + 900 = 2550 [kWh] です。 平均電力はこれを24時間で割って、2550 / 24 = 106.25 [kW] となります。 ※負荷率 = 106.25 / 150 = 0.708 (約71%) となり、選択肢と照らし合わせると、与えられた図が「0-6時:100kW, 6-12時:25kW, 12-18時:75kW, 18-24時:150kW」といった別の数値設定である可能性があります。問題の選択肢(ニ:50%、40%)を正解とするためには、平均電力が75kWになるグラフである必要があります。
需要率の計算 需要率は、最大電力150kWを設備容量375kWで割ります。 需要率 = 150 / 375 = 0.4 = 40%
受給に関する指標の定義
電気工事士試験で必須となるこれらの指標は、電力設備がどれだけ効率的かつ適正に運用されているかを示すバロメーターです。
負荷率は「設備の利用効率」を示します。100%に近いほど、一定の電力消費が続いており、発電所や変圧器がムダなく働いていることを意味します。一方で、需要率は「設備に対する実際の負荷の大きさ」を示します。設備容量に対して実際にどれくらいの最大需要があるかを知ることで、変圧器の容量選定や契約電力の決定といった設計業務に直結します。
指標を読み解く思考の順序
試験問題を解く際は、まず「分母と分子は何か」を明確にすることが先決です。 負荷率の分母は「最大電力」です。分子は「平均」であることに注意してください。対して需要率は、分母が「設備容量(設置されている機器の合計)」で、分子が「最大電力」です。
混同しやすいポイントとして、「設備容量」と「最大電力」のどちらを分母にするかという点があります。需要率はあくまで「設備に対してどれだけ使っているか」という設置時の検討に使うため、分母は設置済みの設備容量となります。この関係性を理解しておくと、計算ミスを大幅に減らすことができます。
実務における重要性
これら指標の計算は、配電設備の設計実務において極めて重要です。例えば、ビル全体の設備容量の合計が1000kWあったとしても、すべての機器が同時に最大出力で動くことは稀です。このため、需要率を考慮して、実際に設置する変圧器の容量を小さく設計することで、設備投資や基本料金を最適化します。
また、負荷率が低い(=ピーク時と夜間の差が激しい)需要家に対しては、電力会社が夜間の電気料金を安く設定するなどのインセンティブを設け、電力需要の平準化を促す対策をとることがあります。この問題は、単なる計算練習ではなく、電力需給の全体最適化という大きな視点を養うための入り口となるものです。