第一種電気工事士試験 / 平成27年度 筆記試験 / 問16
certification-simodake-work

平成27年度 筆記試験 問16 解説 架空電線の張力

設問図

図に示すように電線支持点AとBが同じ高さ の架空電線のたるみD[m]を2倍としたとき の電線に加わる張力T[N]は何倍となるか。

  1. イ. 1/4
  2. ロ. 1/2 ✓ 正答
  3. ハ. 2
  4. ニ. 4

解説

この問題は、架空電線の張力とたるみの関係式から、変数の変化率を見抜くことで解けます。

張力 TT とたるみ DD の関係式は以下の通りです。 T=wS28DT = \frac{wS^2}{8D}

ここで、wwは電線の単位長さあたりの重量、SSは電線の径間(支持点間の水平距離)を表します。この式から、TTDDに反比例する(T1/DT \propto 1/D)ことがわかります。したがって、たるみ DD を2倍にすると、張力 TT はその逆数である 1/21/2 倍になります。

架空電線の力学モデル

架空電線は、自重によって重力方向に引き下げられ、両端の支持点から水平方向へ大きな張力が加わります。このとき、電線が描く曲線は厳密には懸垂曲線(カテナリー曲線)となりますが、電線がそれほど長くない実用的な範囲では、放物線として近似計算を行うことが一般的です。

この放物線近似を用いた式が T=wS28DT = \frac{wS^2}{8D} です。この式から、物理的な直感を得ることができます。つまり、電線をピンと張ろうとすると(DDを小さくすると)、分母が小さくなるため、支持点にかかる張力 TT は極端に大きくなります。逆に、電線を大きくたわませると(DDを大きくすると)、分母が大きくなり、張力 TT は小さくなるという仕組みです。

比例と反比例を見抜く手順

本試験のような計算問題では、すべての数値を代入する必要はありません。変化に関係する変数だけを抜き出して比較するのがコツです。

  1. 式の中から問いで扱われている変数(今回は TTDD)を確認する。
  2. その他の値(wwSS)が不変であることを前提に、式を簡略化する。
  3. T=k×1DT = k \times \frac{1}{D}kk は定数)という関係を導き出す。
  4. DD2D2D に変化したとき、T=k×12D=12×TT' = k \times \frac{1}{2D} = \frac{1}{2} \times T となることを確認する。

この手順を用いることで、計算ミスを防ぎ、素早く答えを導き出すことができます。

配線設計における張力管理の重要性

この知識は、実際の架空送配電線工事の設計において非常に重要です。電線のたるみは、周囲の温度変化によって伸縮するため、夏場は伸びてたるみが大きくなり、冬場は収縮してたるみが小さくなります。

設計時には、最低気温のときでも電線が切断しないように張力を考慮し、逆に高温時でも他の構造物との離隔距離を保てるようにたるみを調整する必要があります。もし、たるみを少しでも小さくしようとして無理に引っ張れば、張力が急激に増大し、電線の断線や支持物(電柱など)への過大な負荷につながります。このため、張力とたるみの反比例の関係は、架空線路を安全に維持するための基本原則となっているのです。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう