第一種電気工事士試験 / 平成27年度 筆記試験 / 問26
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平成27年度 筆記試験 問26 解説 許容電流の定義

600V ビニル絶縁電線の許容電流(連続使用時)に関する記述として,適切なものは。

  1. イ. 電流による発熱により,電線の絶縁物が著しい劣化をきたさないようにするための限界の電流値。 ✓ 正答
  2. ロ. 電流による発熱により,絶縁物の温度が80℃となる時の電流値。
  3. ハ. 電流による発熱により,電線が溶断する時の電流値。
  4. ニ. 電圧降下を許容範囲に収めるための最大の電流値。

解説

許容電流の定義は、電気設備の安全を守るための基本知識です。この問題を解く際の鍵は、「電線が壊れる(溶ける)かどうか」ではなく「絶縁被覆の性能を維持できる温度は何度か」という視点を持つことです。選択肢の中で「絶縁物の劣化」に言及しているのはイだけであるため、直ちにこれを選択します。

許容電流が規定される理由

電線に電流が流れると、導体の電気抵抗によってジュール熱が発生し、温度が上昇します。このとき、電線を包んでいるビニル絶縁物が過度に熱せられると、化学的な変化(酸化や軟化)が進み、絶縁性能が急激に低下してしまいます。

絶縁性能が失われると、最悪の場合、漏電や短絡事故を引き起こす恐れがあります。そのため、絶縁物が長期にわたって劣化せず、安全に使い続けられる最高温度(600Vビニル絶縁電線では通常60℃)を基準に、そこを超えない範囲で流せる電流の最大値を決めています。これが許容電流の正体です。

選択肢の判断プロセス

各選択肢を検討する際は、キーワードを比較することで正誤を明確にできます。

・イ:絶縁物の劣化を防ぐための「限界の電流値」という表現は、許容電流の定義そのものです。 ・ロ:600Vビニル絶縁電線(IVなど)の最高許容温度は60℃です。80℃という数値はポリエチレン絶縁電線などの基準であり、この問題の対象とは一致しません。 ・ハ:溶断(電線そのものが溶けて切れること)は短絡電流などの非常に大きな電流が流れた時の現象であり、通常の使用状態で考慮すべき許容電流とは異なります。 ・ニ:電圧降下は「電線の長さ」や「負荷までの距離」によって決まる値であり、電線が熱的に耐えられる限界値である「許容電流」とは別の概念です。

現場で求められる安全の判断基準

第一種電気工事士試験でこの知識が問われる背景には、設計者としての責任があります。実際の現場では、周囲の温度や電線の敷設方法(配管の中に何本入れているか、束ねているかなど)によって放熱効率が変わり、許容電流も変化します。

試験で問われるのは基礎的な定義ですが、実務では「許容電流を正しく理解し、それよりも小さな負荷電流になるように電線の太さを選定する」という能力が不可欠です。この問題は、電気設備が長期的に安定して稼働するために必要な「熱設計」の最も基礎的な考え方を再確認する役割を持っています。

参考リンク

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