平成27年度 筆記試験 問35 解説 B種接地抵抗の計算
一般にB種接地抵抗の計算式は、 150 V 変圧器高圧側電路の1線地絡電流[A] となる。 ただし、変圧器の高低圧混触により、低圧 側電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、 1秒以下で自動的に高圧側電路を遮断する装置 を設けるときは、計算式の150Vは □ V とすることができる。 上記の空欄にあてはまる数値は。
- イ. 300
- ロ. 400
- ハ. 500
- ニ. 600 ✓ 正答
解説
この問題は、B種接地工事の計算式における電圧の緩和条件を問うものです。基本となる分子の電圧は150Vですが、高圧側電路の遮断時間に応じてこの値が緩和されます。遮断時間が「1秒以下」であれば、計算式の分子を600Vとすることができます。
B種接地工事の基本式と緩和の仕組み
B種接地工事は、高圧または特別高圧の電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側に施されます。これは、高圧と低圧が混触(接触)した際に、低圧側の対地電圧が異常に上昇して感電や火災を引き起こすのを防ぐためのものです。
計算式は以下の通りです。
ここで、 は接地抵抗値[Ω]、 は高圧側電路の1線地絡電流[A]、 は接地抵抗の分子となる電圧[V]を表します。
通常、この は150Vと定められていますが、混触時に自動的に高圧側電路を遮断する装置を設置する場合、より大きな値を用いることが認められています。この緩和の考え方は、遮断時間が短いほど感電のリスクが抑えられるという物理的な安全性に基づいています。
遮断時間と電圧緩和の選定基準
試験で覚えるべき緩和条件は以下の2点です。
- 遮断時間が1秒以下の場合:計算式の分子を300Vまで緩和できる
- 遮断時間が0.5秒以下の場合:計算式の分子を600Vまで緩和できる
問題文では「1秒以下で自動的に遮断する装置を設けるとき」とあり、かつ選択肢に600Vが含まれています。このルールには、厳しい条件(0.5秒以内)を満たせば、より高い600Vを採用して計算できるという包含関係があります。したがって、1秒以下という条件は、より有利な600Vの適用範囲内に含まれていると判断します。
安全設計における接地抵抗の役割
この知識は、単なる試験対策を超えて、実際の電気設備設計や保安管理の現場で重要です。
接地抵抗値 は小さいほど安全ですが、接地抵抗を極端に小さくすることは施工コストや物理的なスペースの観点から非常に困難です。そのため、地絡電流 が大きい環境では、計算式の分子 を緩和することで、現実的な接地工事の設計を行う必要があります。
「遮断時間を短くする」という装置側の対策と、「接地抵抗値を調整する」という物理的な対策を組み合わせることで、低圧側電路の安全をトータルで確保する。この考え方は電気設備の保安における根本的なアプローチであり、第一種電気工事士に求められる高度な技術的判断力を問う重要な項目と言えます。