平成27年度 筆記試験 問36 解説 絶縁抵抗計の保護端子
高圧ケーブルの絶縁抵抗の測定を行うとき、 絶縁抵抗計の保護端子(ガード端子)を使用 する目的として、正しいものは。
- イ. 絶縁物の表面の漏れ電流も含めて測定するため。
- ロ. 絶縁物の表面の漏れ電流による誤差を防ぐため。 ✓ 正答
- ハ. 高圧ケーブルの残留電荷を放電するため。
- ニ. 指針の振れによる焼損を防止するため。
解説
絶縁抵抗計のガード端子に関する問題は、選択肢の中の「表面漏れ電流」というキーワードに注目するだけで即答できます。ガード端子とは、測定したい絶縁体の内部抵抗(体積抵抗)だけを純粋に測るために、表面を通る不要な電流をバイパスさせるための端子だからです。
絶縁抵抗測定と表面漏れ電流のジレンマ
絶縁抵抗計は、対象物に高電圧をかけ、流れる電流を測定して抵抗値を算出します。しかし、ケーブルの端部や湿気のある場所では、絶縁体の「内部」を流れる電流だけでなく、表面の汚れや水分を伝って流れる「表面漏れ電流」が発生します。
もし、この表面漏れ電流をそのまま測定してしまうと、本来の絶縁性能よりも低い抵抗値が算出されてしまいます。これが測定誤差の原因となります。
ガード端子付きの絶縁抵抗計では、絶縁体の表面に導体(ガード線)を巻き付け、その線をガード端子に接続します。すると、表面を流れる電流は測定回路を通らず、直接ガード端子へバイパスされます。これにより、測定回路には絶縁体の「内部」を通る電流だけが流れるようになり、純粋な絶縁抵抗値が測定できる仕組みになっています。
ガード端子を選択肢から導き出す思考
この問題を解く際は、以下の役割分担を意識すると迷いがありません。
・接地端子(E):測定電圧の基準となる端子。 ・線路端子(L):測定電圧を印加する端子。 ・ガード端子(G):誤差成分となる漏れ電流を「ガード(防護・回避)」して逃がす端子。
選択肢の「イ」は、漏れ電流を含めると正確な絶縁性能が測れないため誤りです。「ハ」の残留電荷の放電は、絶縁抵抗計ではなく、専用の放電棒や高圧検電器の役割です。「ニ」の焼損防止については、過大な電流が流れないようヒューズや保護回路が担うもので、ガード端子の直接的な目的ではありません。したがって、誤差を排除するという目的を持つ「ロ」が正解となります。
実務における重要性
この知識は、現場で正確な保守点検を行うために不可欠です。例えば、高圧ケーブルの端末処理箇所は湿気や塩分を付着しやすく、表面漏れ電流が非常に大きくなりやすい場所です。
もしガード端子を使わずに絶縁抵抗を測定した場合、ケーブル本体が健全であっても、端部の汚れのせいで絶縁抵抗値が低く表示され、「ケーブルが劣化している」という誤った判断を下してしまう可能性があります。ガード端子を正しく使用することは、設備が本当に不良なのか、単なる表面の汚れによるものなのかを切り分けるための技術的手段といえます。試験問題としては単なる用語の理解を問うものですが、実務においては点検の信頼性を担保する重要な工程なのです。