平成27年度 筆記試験 問43 解説 計器用変圧器保護
③で示す装置を使用する主な目的は。
- イ. 計器用変圧器を雷サージから保護する。
- ロ. 計器用変圧器の内部短絡事故が主回路に波及することを防止する。 ✓ 正答
- ハ. 計器用変圧器の過負荷を防止する。
- ニ. 計器用変圧器の欠相を防止する。
解説
計器用変圧器とパワーヒューズの関係
この問題は、受変電設備における計器用変圧器(VT)の一次側に接続された高圧カットアウトやパワーヒューズ(PF)の役割を問うものです。解き方の判断基準は、VTが故障した際にその影響が主回路(高圧側)へ拡大しないように遮断することです。VT自体は低容量の機器であるため、回路トラブルによる焼損や短絡事故が発生した際、保護装置であるヒューズが真っ先に溶断することで、主幹の遮断器までトリップさせるような大規模な停電を防ぐ目的があります。
保護装置の役割と配置の意義
計器用変圧器(VT)は、高圧回路の電圧を測定するために設置されます。VTは非常に精密な機器ですが、内部で絶縁破壊が生じて短絡事故が発生した場合、そのままでは主回路全体に大きな短絡電流が流れ続け、他の負荷や配電系統全体に甚大な被害を及ぼす可能性があります。
そのため、VTの一次側には必ずPF(パワーヒューズ)を設置することが義務付けられています。このPFは、VTの過負荷保護や計測精度の向上を目的とするものではなく、あくまでVTそのものを回路から切り離すための「切り離しスイッチ(遮断)」としての役割を担います。
事故波及の防止という考え方
試験問題において「保護装置がどこにあるか」と「何を保護しているか」の組み合わせを整理することが重要です。
・VT二次側の保護:VTの二次回路が短絡した場合、二次側ヒューズが溶断してVTを保護します。 ・VT一次側の保護:VT内部で絶縁破壊や短絡が発生した場合、一次側ヒューズが溶断して主回路を保護します。
この問題で問われているのは後者であり、主回路(上位系統)への事故波及防止が最大の目的です。もしPFが設置されていなければ、VTのわずかな故障が原因で、工場や施設全体の電力が遮断されるという最悪の事態になりかねません。したがって、この機器の設置は電力供給の信頼性を維持するための必須事項となっています。
実務における重要性
この知識は、高圧受電設備の設計や保守点検において極めて重要です。現場では、VT用のPFは小さく、短絡電流が流れた際に大きな音を立てて動作します。点検時には、これらのヒューズが正しく選定されているか、VTの一次側に適切な定格電流のものが入っているかを確認します。
教育的意図としては、受変電設備の「保護協調」という概念を理解しているかが試されています。どの機器が故障したときに、どこで回路を切り離すのが最も被害を最小限に抑えられるか、という視点は、電気工事士として安全管理を行う上で不可欠な思考回路です。