第一種電気工事士試験 / 平成28年度 筆記試験 / 問3
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平成28年度 筆記試験 問3 解説 交流回路の力率

設問図

図のような交流回路において, 抵抗 R=10 Ω, 誘導性リアクタンス XL=10 Ω, 容量性リア クタンス Xc=10 Ω である。この回路の力率 [%]は。

  1. イ. 30
  2. ロ. 50
  3. ハ. 70
  4. ニ. 100 ✓ 正答

解説

この問題は、直列共振現象を理解しているかが問われています。RLC直列回路において、誘導性リアクタンス XLX_L と容量性リアクタンス XCX_C が等しい場合、回路全体のインピーダンスは抵抗 RR のみとなり、電圧と電流の位相差がゼロになるため、力率は100%となります。計算式で表すと以下のようになります。

インピーダンス Z=R2+(XLXC)2Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2} XL=XC=10ΩX_L = X_C = 10 \Omega を代入すると、 Z=102+(1010)2=102+02=10ΩZ = \sqrt{10^2 + (10 - 10)^2} = \sqrt{10^2 + 0^2} = 10 \Omega

力率 cosθ=RZ=1010=1\cos \theta = \frac{R}{Z} = \frac{10}{10} = 1 したがって、力率は 100%100 \% です。

回路における共振現象

交流回路において、コイル(インダクタンス)とコンデンサ(キャパシタンス)は、電流の位相をそれぞれ遅らせる働きと進ませる働きを持っています。直列回路において XL=2πfLX_L = 2\pi f LXC=12πfCX_C = \frac{1}{2\pi f C} が等しくなるとき、互いの位相を打ち消し合う「直列共振」という状態になります。このとき、回路はあたかもコイルもコンデンサも存在しないかのように振る舞い、純抵抗回路と同じ性質を示します。

インピーダンスと力率の関係

直列回路のインピーダンスを考える際、抵抗 RR は実数成分、リアクタンス分 (XLXC)(X_L - X_C) は虚数成分としてベクトル的に加算します。この直角三角形における底辺が RR、斜辺が ZZ となります。力率は RZ\frac{R}{Z} で定義されるため、リアクタンス分が打ち消し合ってゼロになれば、Z=RZ = R となり、力率は最大値である1(100%)に到達します。この原理を知っていれば、計算をせずとも「リアクタンスが同じなら力率は100%である」と瞬時に判断できます。

現場で直面する力率の意味

この問題は単なる理論の確認に見えますが、実務においても極めて重要な概念です。電力供給において力率が低い(100%から離れる)ということは、有効に使われない電流が無駄に流れていることを意味します。これを「無効電力」と呼びます。

実際の配電線や工場などの設備では、モーターやトランスによる誘導性負荷が多く、力率が低下しがちです。そのため、意図的にコンデンサ(進相コンデンサ)を挿入することで、この問題のように XLX_LXCX_C を近づけ、力率を改善して電気を効率よく利用する工夫がなされています。第一種電気工事士の試験は、単なる暗記ではなく、こうした「回路をどう制御すれば効率が上がるか」という設計思想の基礎を問うものと言えます。

参考リンク

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