平成28年度 筆記試験 問34 解説 受電設備の図記号
問30から問34までは,下の図に関する問いである。 図は,供給用配電箱(高圧キャビネット)から自家用構内を経由して,地下1階電気室に施設する屋内キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620 適合品)に至る電線路及び低圧屋内幹線設備の一部を表した図である。この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれ,問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕1.図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。 2.UGS:地中線用地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器
- イ.
- ロ.
- ハ. ✓ 正答
- ニ.
解説
この問題は、電気設備の保守管理における「点検の種類」と「測定・試験の目的」を整理することで解くことができます。
年次点検は、設備を停電させて行う精密な検査ですが、あくまで「経年変化による劣化がないか」を確認するものです。一方で「絶縁耐力試験」は、新設時や大規模な修理・改造の直後に、その絶縁性能が基準をクリアしているかを厳しく判定する破壊検査に近い性質を持っています。この違いを理解しているかが問われています。
点検項目を性質で見極める
電気設備の定期点検において、なぜ絶縁耐力試験が行われないのか。その理由は「設備への負担」と「点検の目的」にあります。
・年次点検の目的 主に「経年劣化の早期発見」と「保護装置の動作確認」です。設備を極力健全な状態に維持しつつ、安全を確認することが求められます。
・絶縁耐力試験の目的 「絶縁耐力試験(耐圧試験)」は、商用周波数の高い電圧を印加して絶縁能力を強制的に判定します。万が一、経年劣化により弱っている箇所があった場合、この試験によって絶縁破壊を引き起こしてしまい、設備を壊してしまうリスクがあります。そのため、新設時や修理完了時など、特別な状況を除いて定期的な実施は控えるのが原則です。
・絶縁抵抗測定との違い 絶縁抵抗測定は、メガ(絶縁抵抗計)を用いて比較的低い電圧を印加し、絶縁状態を確認する「非破壊検査」です。これは設備に悪影響を与えることなく定期的に実施できるため、年次点検の必須項目となります。
保護継電器試験とその他の項目
年次点検における主要な項目には以下のものがあります。
保護継電器試験 電気設備に異常(地絡や短絡など)が発生した際に、遮断器を確実に作動させるためのものです。試験装置を使用して、設定された電流・電圧で正しく動作するかを確認します。
接地抵抗測定 保安上の基本であり、地絡発生時に感電を防ぐために重要です。接地抵抗値が規定値以下であることを年次で確認し、経年による地盤の変化や接続部の腐食をチェックします。
これらは、設備を停電させてでも必ず実施すべき「健全性の確認」であるのに対し、絶縁耐力試験は「耐電圧性能の証明」という特別な立ち位置にあることを理解しておきましょう。
現場実務における判断基準
この知識は、実際に現場で点検計画を策定する際に非常に重要です。例えば、古い受変電設備に対して、過度な耐圧試験を行えば、かえって絶縁被覆にダメージを与え、設備の寿命を縮めることにもなりかねません。
試験の意図を正確に把握することは、技術的なミスを避けるだけでなく、設備のライフサイクルマネジメントを行う上での基礎的なスキルとなります。第一種電気工事士の試験では、こうした「実務上のリスク」を理論的に理解しているかどうかが、実務経験を重視する試験の性質として問われています。