平成28年度 筆記試験 問35 解説 絶縁性能の基準
低圧屋内配線の開閉器又は過電流遮断器で 区切ることができる電路ごとの絶縁性能とし て,電気設備の技術基準(解釈を含む)に 適合するものは。
- イ. 使用電圧 100 V(対地電圧 100 V)のコンセント回路の絶縁抵抗を 測定した結果,0.08 MΩ であった。
- ロ. 使用電圧 200 V(対地電圧 200 V)の空調機回路の絶縁抵抗を測定し た結果,0.17 MΩ であった。
- ハ. 使用電圧 400 Vの冷凍機回路の絶縁抵抗を測定した結果,0.43 MΩ で あった。 ✓ 正答
- ニ. 使用電圧 100 Vの電灯回路は,使用中で絶縁抵抗測定ができないので, 漏えい電流を測定した結果,1.2 mA であった。
解説
この問題は、電気設備の技術基準の解釈で定められている「絶縁抵抗値の区分」を正確に覚えているかを問うものです。対地電圧の区分に応じて、基準となる絶縁抵抗値(MΩ)が段階的に設定されています。まずは、その境界値を確認しましょう。
絶縁抵抗値の基準区分
絶縁性能は、回路の電圧レベルに応じて以下の3段階で規定されています。
- 対地電圧 150 V以下:0.1 MΩ以上
- 対地電圧 150 Vを超え 300 V以下:0.2 MΩ以上
- 対地電圧 300 Vを超える場合:0.4 MΩ以上
また、絶縁抵抗測定が困難な場合には、漏えい電流が1 mA以下であれば絶縁性能が確保されているとみなされます。
各選択肢の検討と判断プロセス
それぞれの選択肢が規定を満たしているか、電圧区分と照らし合わせて判定します。
イ:使用電圧 100 V(対地電圧 100 V)の場合、基準は 0.1 MΩ以上です。測定値 0.08 MΩは基準を下回っているため不適合です。
ロ:使用電圧 200 V(対地電圧 200 V)の場合、基準は 0.2 MΩ以上です。測定値 0.17 MΩは基準を下回っているため不適合です。
ハ:使用電圧 400 Vの場合、これは 300 Vを超えていますので、基準は 0.4 MΩ以上です。測定値 0.43 MΩは基準を上回っているため、適合となります。
ニ:使用電圧 100 Vの回路で絶縁抵抗測定が困難な場合、漏えい電流の許容値は 1 mA以下です。測定値 1.2 mAは許容値を超えているため不適合です。
現場でこの数値を判断する意味
この知識は、竣工検査や定期点検の現場で非常に重要です。電気設備の安全性を確保するためには、ケーブルの被覆や機器の絶縁物が経年劣化や損傷を起こしていないかを数値で判断する必要があります。
試験で問われるこの基準値は、単なる暗記項目ではなく、感電事故や地絡事故を未然に防ぐための「合格ライン」です。特に、300 Vを超える回路ではより高い絶縁性能が求められるという構造を理解しておくと、実務において低圧回路だけでなく高圧設備への理解も深まります。また、絶縁抵抗計(メガー)が使用できない状況で漏えい電流計(リーククランプ)を用いた測定が認められている点は、実際の設備点検における実用的な知恵として覚えておくと役立ちます。