平成28年度 筆記試験 問43 解説 接点の役割
③で示す接点の役割は。
- イ. 押しボタンスイッチのチャタリング防止
- ロ. タイマの設定時間経過前に電動機が停止しないためのインタロック
- ハ. 電磁接触器の自己保持 ✓ 正答
- ニ. 押しボタンスイッチの故障防止
解説
自己保持回路を見抜くポイント
この問題は、シーケンス図における「電磁接触器(MC)の補助接点」がどの位置に配置されているかを確認するだけで即答できます。図中で、起動用の押しボタンスイッチと並列に接続されている接点があれば、それが自己保持回路の一部であると判断します。
自己保持の仕組みと役割
シーケンス制御における自己保持回路とは、一度押した押しボタンスイッチから指を離しても、電磁接触器の動作(接点の閉路状態)を維持させるための回路です。
通常、起動用の押しボタンスイッチは「モーメンタリ形」と呼ばれる、押している間だけ通電するスイッチが使われます。もし自己保持回路がなければ、ボタンから指を離した瞬間に電磁接触器への電流が遮断され、電動機は止まってしまいます。これを防ぐために、電磁接触器自身の動作によって閉じる「補助接点(a接点)」を、スイッチと並列に設けます。
動作の流れは以下の通りです。
- 押しボタンスイッチを押すと、電磁接触器のコイルに電流が流れる。
- コイルの励磁により、主接点とともに補助接点も閉じる。
- この補助接点が並列回路を形成するため、スイッチから指を離しても、補助接点を通ってコイルへ電流が流れ続ける。
- 結果として、電磁接触器は動作状態を維持する。
回路図からの読み解き方
図面を見る際は、まず電磁接触器のコイルを探し、そのコイルを励磁させるための接点がどこにあるかを探します。問題の箇所③が、コイルの励磁回路において「起動ボタンに対して並列」に配置されているならば、それは間違いなく自己保持用の補助接点です。
「チャタリング防止」や「故障防止」といった選択肢は、電気的な現象や機器の寿命に関する用語であり、今回のような回路構成から判断する「機能」の説明としては不適切です。また「インタロック」は、ある動作中に他の動作を禁止する回路(例:正転と逆転を同時に行わせない等)を指すため、役割が異なります。
現場での重要性
この自己保持回路は、工場やビルの動力制御、ポンプの運転回路など、あらゆる自動制御の基本となる技術です。実務では、この回路を理解していなければ、ボタンを押しても機器が動き出さない、あるいは押し続けなければならないといった不具合の原因特定ができません。
試験では単なる用語の暗記を問うているわけではなく、図面から「この接点が何のためにここにあるのか」という設計思想を読み取れるかを問うています。この回路を理解することで、シーケンス図全体がどのようなロジックで動いているのかを論理的に追跡する力が養われます。