第一種電気工事士試験 / 平成29年度 上期 筆記試験 / 問10
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平成29年度 上期 筆記試験 問10 解説 誘導電動機のトルク曲線

設問図

図において, 一般用低圧三相かご形誘導電動機 の回転速度に対するトルク曲線は。

  1. イ. A
  2. ロ. B
  3. ハ. C ✓ 正答
  4. ニ. D

解説

この問題は、三相かご形誘導電動機における「トルクと回転速度の関係」という基本特性を正しく選べるかを問うています。正解を導くための鍵は、横軸を回転速度、縦軸をトルクとしたグラフにおいて、以下の2つの重要ポイントを確認することです。

  1. 回転速度が同期速度(電動機が到達できる最高速度)に達したとき、トルクはゼロになる。
  2. 起動時(回転速度ゼロ)からある程度のトルクを発生させ、加速していく途中で最大トルクに達する。

この条件を満たす曲線は、グラフの右端(同期速度)でトルクがゼロになり、横軸のゼロ付近から立ち上がって山を描く形、つまり選択肢の A となります。

トルク特性曲線を理解するための基本

三相誘導電動機は、回転磁界によってかご形ローターに誘導電流が流れ、その電流と回転磁界の相互作用によって回転力を得ます。回転速度が上がると、回転磁界とローターの速度差(すべり)が小さくなるため、誘導起電力も減少し、トルクの変化には山なり(特性曲線)のカーブが生じます。

最大トルクは一般的に、定格負荷よりも高い回転域で発生するように設計されています。もし曲線が右端(同期速度)よりも手前でトルクがゼロになったり、逆に起動時にトルクが全く発生しないような形(他の選択肢にあるような曲線)であれば、誘導電動機としての実用的な運用はできません。

グラフを読み解く思考プロセス

試験会場でこの問題に出会った際は、まず「同期速度(横軸の右端)」と「起動時(横軸の左端)」の2点に注目してください。

  • 同期速度:ここでは回転磁界とローターの速度が一致し、相対的な動きがなくなるため、トルクは必ずゼロです。グラフの曲線が必ず xx 軸(回転速度軸)と交わる地点を確認します。
  • 起動時:電動機が動き出す力(起動トルク)がプラスの値で存在しなければなりません。グラフの左端(回転速度0)で、トルクがゼロより上にあるかを確認します。

この2点を押さえるだけで、多くの曲線パターンを即座に除外できます。本問では、Aの曲線が誘導電動機として一般的な特性を示していると判断できます。

実務と教育的意義

このトルク特性の理解は、電動機の選定に直結します。たとえば、起動時に大きな力が必要な「重負荷起動」の設備(コンベアや破砕機など)なのか、あるいは徐々に回転を上げていく「軽負荷起動」なのかによって、必要なトルク特性が異なります。

試験でこのような「曲線を選ぶ問題」が出題される背景には、単なる理論の暗記ではなく、電動機が「どのように動き出し、どのように定格回転に到達するか」という動的な挙動をイメージしてほしいという意図があります。この知識を身につけておくことで、現場で電動機の選定資料である「トルク特性図」を見た際にも、その電動機の性格を一目で把握できるようになります。

参考リンク

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