平成29年度 上期 筆記試験 問14 解説 照明器具の表示
写真の照明器具には矢印で示すような表示マーク が付されている。この器具の用途として,適切なもの は。
- イ. 断熱材施工天井に埋め込んで使用できる。 ✓ 正答
- ロ. 非常用照明として使用できる。
- ハ. 屋外に使用できる。
- ニ. ライティングダクトに設置して使用できる。
解説
照明器具本体に記された「日本照明工業会 Sg・Sa・Sb適合表示」というマークは、その器具が「断熱材施工器具」であることを示す識別表示です。この表示がある器具は、周囲を断熱材で覆われた天井であっても、過熱の心配なく安全に埋め込み設置ができることを証明しています。したがって、選択肢イが正解となります。
断熱材施工器具と適合表示の意味
住宅の省エネルギー性能を高めるために、天井裏にはグラスウールなどの断熱材を隙間なく敷き詰めることが一般的です。しかし、一般的なダウンライトを断熱材で覆ってしまうと、点灯による熱が逃げ場を失い、器具や周囲の断熱材が異常高温となって火災の原因になる恐れがあります。
これを防ぐために開発されたのが断熱材施工器具です。日本照明工業会では、断熱材との距離や温度上昇の制限に基づき、適合する器具に以下の表示を行っています。
・Sg形:断熱材を器具のすぐ近くまで施工できる「断熱材施工器具」 ・Sa形:断熱材を器具の上面に直接施工できる(さらに耐熱性能が高い) ・Sb形:断熱材を器具の上面および側面に直接施工できる(最も性能が高い)
今回の問題にある「Sg・Sa・Sb適合表示」は、これら断熱材施工に対応した基準を満たしていることを示しています。
安全性を判断するための思考プロセス
試験会場でこの問題に出会った場合、以下の手順で正誤を判断します。
- 写真のマークを確認する:器具のラベルにある「日本照明工業会 Sg・Sa・Sb適合表示」というキーワードを読み取ります。
- マークの定義を想起する:これが「断熱材施工器具」に関連するマークであることを結びつけます。
- 選択肢を照合する:各選択肢のキーワード(断熱施工、非常用、屋外、ダクト)に対し、マークの意味が合致するものを選びます。
他の選択肢については、非常用照明であれば「L形」等の専用の表示、屋外用であれば「防雨型」「防湿型」等の明記、ライティングダクト用であれば「専用のアダプタや形状」が必要となります。これらとの混同を避けるのがポイントです。
現場における実務的な重要性
この知識は、電気工事士にとって「火災を未然に防ぐための必須の安全知識」です。実際の現場では、設計図面や仕様書に断熱材施工の有無が記載されています。
もし誤って非対応の器具を断熱天井に設置してしまうと、短期間で故障するだけでなく、最悪の場合は天井裏からの発火事故に直結します。器具のラベルを確認する習慣は、検査やメンテナンスの際にも重要です。特にリフォーム現場などでは、天井裏の構造が図面通りとは限らないケースも多いため、現物で「Sg・Sa・Sb」表示を確認するスキルは、プロとして現場を管理する上で非常に信頼性の高い判断基準となります。