平成29年度 上期 筆記試験 問16 解説 太陽光発電の知識
太陽光発電に関する記述として,誤っているも のは。
- イ. 太陽電池を使用して1kWの出力を得るには,一般的に1m2程度の受光面積の太陽電池を必要とする。 ✓ 正答
- ロ. 太陽電池の出力は直流であり,交流機器の電源として用いる場合は,インバータを必要とする。
- ハ. 太陽光発電設備を一般送配電事業者の電力系統に連系させる場合は,系統連系保護装置を必要とする。
- ニ. 太陽電池は,半導体のpn接合部に光が当たると電圧を生じる性質を利用し,太陽光エネルギーを電気エネルギーとして取り出すものである。
解説
太陽光発電の効率に関する知識を問う問題です。太陽光発電の標準的な変換効率を考慮し、1kWの出力に必要な面積を検討することで正誤を判断します。
太陽光発電の変換効率と面積の目安
現在の太陽光発電システム(結晶シリコン系)の変換効率は、およそ15%から20%程度です。太陽光の放射エネルギーは地表面で1平方メートルあたり約1kW(標準試験条件)とされています。このエネルギーを20%の効率で変換できたとしても、得られる電力は となります。
したがって、1kWの出力を得るためには、 程度、つまり最低でも5平方メートル前後の受光面積が必要です。選択肢イにある「1平方メートルで1kW」という数値は、現在の技術水準と比較して明らかに過小な面積であり、現実的ではありません。
選択肢の判断と技術的な背景
試験で問われる各項目について、以下の通り整理します。
・ロ:太陽光発電の基本動作 太陽電池(PVモジュール)から得られる電力は直流です。家庭内の家電製品や電力系統は交流で動作するため、直流を交流に変換するインバータ(パワーコンディショナ)が不可欠となります。
・ハ:電力系統との連系 太陽光発電設備を電力会社が運用する電力系統に接続(連系)する場合、系統側の事故や電圧異常が発生した際に、太陽光発電設備を迅速に切り離す必要があります。これを「逆流防止」や「単独運転防止」などの機能を持つ系統連系保護装置によって実現します。これは保安上の必須条件です。
・ニ:光起電力効果の定義 太陽電池の動作原理そのものです。p型半導体とn型半導体を接合した素子に光が照射されると、半導体内の電子が励起され、光起電力(起電力)が発生します。この物理現象は光起電力効果と呼ばれます。
太陽光発電知識の重要性
第一種電気工事士の試験において、この問題は「再生可能エネルギー設備の基礎知識」を問うものです。単なる暗記ではなく、エネルギー変換効率という概念を理解しているかが鍵となります。
実際の現場では、屋根の面積に対してどれだけの設置が可能か、あるいは一定の受光面積からどれだけの発電量が期待できるかという設計の判断が求められます。特に近年では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及により、電気工事士が太陽光発電システムに関わる機会は非常に増えています。このような基礎知識は、現場での提案やトラブルシューティングを行う上での大前提となります。