第一種電気工事士試験 / 平成29年度 上期 筆記試験 / 問32
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平成29年度 上期 筆記試験 問32 解説 地絡事故検出

設問図

③に示す高圧ケーブル内で地絡が発生した場合,確実に地絡事故を検出できるケーブルシールドの接地方法として,正しいものは。

選択肢図
  1. イ.
  2. ロ.
  3. ハ.
  4. ニ. ✓ 正答

解説

高圧ケーブルのシールド接地線が、零相変流器(ZCT)の貫通部を通過していない選択肢を選ぶのが正解です。シールド接地線がZCTを貫通していると、正常時の静電容量による微小な漏れ電流までZCTが検出してしまい、正しく地絡事故を判別できなくなるためです。

零相変流器(ZCT)による地絡検出の仕組み

ZCTは、ケーブルを流れる各相の電流の和がゼロであることを利用して地絡を検出する機器です。

正常な状態では、ケーブル内の各相を流れる電流のベクトル和はゼロになります。しかし、ケーブル内で地絡が発生すると、その地絡電流が大地へ流出するため、ZCTを通過する電流のベクトル和がゼロではなくなり、その差分を地絡電流として検知します。

シールド接地線の扱いと誤動作の関係

高圧ケーブルのシールド層は、通常、電源側で接地されます。このとき、もしシールド層の接地線がZCTの内部を貫通していると、正常時であってもシールド層を流れる充電電流がZCT内を通ることになります。

  1. ケーブル内部を流れる電流の合計は、シールド層を通って戻る充電電流とバランスします。
  2. これらがすべてZCTを貫通していると、正常時でも電磁的に相殺されてゼロと判断されます。
  3. しかし、この状態では地絡が発生した際、本来検出すべき地絡電流の一部がシールド層の挙動によって打ち消されてしまい、感度が低下したり、正確な保護継電器の動作が期待できなくなったりします。

したがって、ZCTの検出精度を確保するためには、シールド接地線はZCTの貫通部を通さず、ケーブルの心線(回路電流)だけをZCTに通すのが基本ルールです。

現場における実務的な意味

この問題は、単なる知識の暗記ではなく、保護継電器システム全体の信頼性を問うものです。実務の現場では、シールド層の接地処理を誤るだけで、地絡事故時に遮断器が動作しない(不動作)、あるいは正常時に無用な遮断が発生する(誤動作)といった重大なトラブルに直結します。

施工時には、ケーブルの端末処理を行う際に「接地線をZCTの一次側(電源側)に引き戻す」のか、「ZCTを通過させない」のかを適切に判断しなければなりません。特に、ZCT設置部でケーブルをまとめてシールド処理を行う際は、接地線がうっかり貫通していないかを目視で確実に確認する習慣が求められます。

参考リンク

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