第一種電気工事士試験 / 平成29年度 上期 筆記試験 / 問33
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平成29年度 上期 筆記試験 問33 解説 変圧器の耐震施工

④に示す変圧器の防振又は,耐震対策等の施工 に関する記述として,適切でないものは。

  1. イ. 低圧母線に銅帯を使用したので,変圧器の振動等を考慮し,変圧器と低圧母線との接続には可とう導体を使用した。
  2. ロ. 可とう導体は,地震時の振動でブッシングや母線に異常な力が加わらないよう十分なたるみを持たせ,かつ,振動や負荷側短絡時の電磁力で母線が短絡しないように施設した。
  3. ハ. 変圧器を基礎に直接支持する場合のアンカーボルトは,移動,転倒を考慮して引き抜き力,せん断力の両方を検討して支持した。
  4. ニ. 変圧器に防振装置を使用する場合は,地震時の移動を防止する耐震ストッパが必要である。耐震ストッパのアンカーボルトには,せん断力が加わるため,せん断力のみを検討して支持した。 ✓ 正答

解説

耐震ストッパのアンカーボルト検討において「せん断力のみを検討すればよい」という記述は誤りです。変圧器のような重量物では、地震時の転倒を防ぐために、せん断力だけでなく、ボルトが基礎から抜けないよう「引き抜き力」の両面を検討することが設計の原則です。

防振と耐震の両立が求められる理由

変圧器は運転中に鉄心の磁気ひずみによって特有の振動(唸り)が発生します。この振動が建物の躯体に伝わると騒音トラブルの原因となるため、防振装置(防振ゴムやスプリングなど)を介して設置するのが一般的です。

しかし、防振装置は柔らかい構造体であるため、地震時の大きな揺れに対しては変圧器が大きく動いたり、転倒したりするリスクを抱えています。そこで、平常時は防振装置で振動を逃がし、地震のような大きな力が加わったときだけ「耐震ストッパ」が変圧器の動きを拘束するという設計が求められます。

耐震設計における力の伝わり方

変圧器に地震力(水平方向の加速度)が加わると、以下の二つの力が重要になります。

  1. せん断力 変圧器を横に滑らせようとする力です。耐震ストッパが直接的に受ける力であり、アンカーボルトには横方向の負荷がかかります。
  2. 引き抜き力 変圧器が揺れることで、重心を軸に回転しようとするモーメントが働きます。これにより、ストッパの反対側のボルトには基礎から浮き上がろうとする「引き抜き力」が集中します。

もし「せん断力のみ」を考慮してボルトを選定すると、地震発生時にボルトが引き抜き力に耐えられず破断し、変圧器が転倒してしまう危険があります。したがって、アンカーボルトはせん断荷重と引き抜き荷重の組み合わせ(合成荷重)に対して安全であることを確認しなければなりません。

実務で求められる構造安全性の視点

第一種電気工事士が現場で変圧器の据付工事を管理・検査する場合、図面や仕様書に示された耐震強度がどのように計算されているかを理解しておくことが重要です。

特に近年では、免震・耐震基準が厳格化されており、メーカーの標準仕様書には「アンカーボルトは〇〇kN以上の引き抜き耐力を持つものを使用すること」といった指定が詳細に記載されています。施工者は単にストッパを取り付けるだけでなく、そのアンカーボルトがコンクリート基礎に対して設計通りの強固な定着を実現しているか(ケミカルアンカーや埋め込み深さの規定など)を確認する必要があります。

この問題の教育的意図は、防振装置という「動くための仕組み」と、耐震ストッパという「止めるための仕組み」を理解し、それぞれに掛かる物理的な負荷を正しく評価する能力を問う点にあります。

参考リンク

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