平成29年度 上期 筆記試験 問44 解説 遮断器の役割
④で示す機器に関する記述で,正しいものは。
- イ. 負荷電流を遮断してはならない。 ✓ 正答
- ロ. 過負荷電流及び短絡電流を自動的に遮断する。
- ハ. 過負荷電流は遮断できるが,短絡電流は遮断できない。
- ニ. 電路に地絡が生じた場合,電路を自動的に遮断する。
解説
この問題の図記号が断路器(DS)であることを特定し、その機能的制約を理解しているかが問われています。解くための判断基準は「断路器には負荷電流を遮断する能力がない」という一点に尽きます。
断路器の役割と遮断能力の限界
電気設備の配線図において、四角形の中に斜線が引かれた記号や、単なる切り離しスイッチのように描かれる機器が断路器(DS)です。断路器は、回路の点検や修理を行う際に、その部分を電源から確実に切り離して「無電圧状態」を作り出すために設置されます。
重要な点は、断路器には消弧装置(火花を消す仕組み)が備わっていないということです。そのため、電気を流している最中に回路を開くと、電極間に激しいアークが発生し、機器の損傷や作業者の感電事故につながる恐れがあります。これが「負荷電流を遮断してはならない」という絶対的なルールの根拠です。
操作手順における安全確保の考え方
実務において断路器を操作する際は、必ず正しい順番を守る必要があります。
- 遮断時(開くとき):先に遮断器(CB)を開いて負荷電流をゼロにし、その後に断路器を開放します。
- 投入時(閉じるとき):先に断路器を閉じて回路を構成し、その後に遮断器を投入します。
試験問題では、断路器単体の機能が問われていますが、現場では「遮断器と組み合わせて初めて安全に回路を切り離せる」というシステム全体の理解が求められています。なぜ負荷電流を流したまま断路器を操作してはいけないのか、その背後にある「アーク放電の危険性」という物理現象をイメージできるかが、合格への近道です。
機器の選定と保護協調の重要性
この問題が示す教育的意図は、保護装置(遮断器)と操作装置(断路器)を混同しないようにという点にあります。
選択肢にある「過負荷電流や短絡電流の遮断」は配線用遮断器(MCCB)や漏電遮断器(ELB)の役割であり、「地絡の遮断」は漏電遮断器の役割です。断路器は電気的に回路を切り離すための「物理的なギャップを作る装置」であり、故障電流を検知して遮断する機能は一切ありません。試験では、回路図の中に現れる各記号が、系統の中でどのような役割を分担しているのかを整理しておくことが非常に重要です。