平成29年度 上期 筆記試験 問50 解説 機器の目的と機能
⑩で示す機器の使用目的は。
- イ. 低圧電路の地絡電流を検出し,電路を遮断する。
- ロ. 低圧電路の過電圧を検出し,電路を遮断する。
- ハ. 低圧電路の過負荷及び短絡を検出し,電路を遮断する。 ✓ 正答
- ニ. 低圧電路の過負荷及び短絡を開閉器のヒューズにより遮断する。
解説
回路図記号において、配線用遮断器(MCCB)の役割を問う問題です。図記号に「配線用遮断器」や「MCCB」と記されている、あるいは四角い箱の中に遮断機構を表す記号が描かれている場合、その役割は「過負荷保護」と「短絡保護」の2点に集約されます。
配線用遮断器(MCCB)の役割を理解する
配線用遮断器(Molded Case Circuit Breaker:MCCB)は、電路に異常が生じた際に自動的に回路を遮断して、機器や配線を保護するための装置です。この機器が検知する異常には主に以下の2種類があります。
・過負荷保護:定格電流を超える電流が長時間流れた際に、熱動形引外し素子(バイメタル)が変形することで接点を開放します。いわゆる使いすぎによる過熱を防ぐ役割です。 ・短絡保護:短絡(ショート)事故など、極めて大きな電流が瞬時に流れた際に、電磁引外し素子によって瞬時に接点を開放します。
選択肢にある「漏電」の検出は、漏電遮断器(ELB)の役割です。また「ヒューズ」は溶断するタイプのものであり、MCCBは繰り返し使用可能な開閉器であるという違いがあります。
識別のための思考プロセス
試験問題の図面において、機器の役割を特定する際は以下の順序で判断します。
- 記号の確認:長方形のボックスに、開閉を示す接点記号や引き外し素子を示すマークがあるかを確認します。
- 目的の切り分け:まず「漏電」に関する記述が含まれていないかを確認します。もし回路図上に「漏電遮断器」であることを示す漏電表示ボタンや「ELB」といった記号があれば漏電保護が目的ですが、本問のようなMCCBであれば漏電は対象外です。
- 消去法による判断:ヒューズを用いる場合は回路図の書き方が明確に異なります(電線上に×印やヒューズ記号がある)。MCCBは「過負荷」と「短絡」の両方をカバーする、配線保護の標準的な装置であると判断します。
実務における位置付けと重要性
この知識は、現場での盤設計や保守管理の根幹をなすものです。電気設備の設計において、電線が耐えられる電流値(許容電流)に対して、それを超える負荷がかからないよう保護協調を検討する必要があります。
MCCBの遮断特性を知っておくことは、単に試験に受かるためだけでなく、どのような機器をどのブレーカー配下に配置すべきか、また短絡事故が起きた際にどの範囲まで影響が出るかを予測する力につながります。特に第一種電気工事士の現場では、動力回路や大容量の電路を扱うことが多いため、適切な遮断容量と保護機能を持った機器を選定する能力が強く求められます。