平成30年度 筆記試験(追加試験分) 問5 解説 三相交流回路の電流
図のような三相交流回路において, 電流 I の値 [A] は。
- イ. 2V/17√3
- ロ. V/5√3 ✓ 正答
- ハ. V/5
- ニ. √3V/5
解説
この問題は、三相交流回路におけるデルタ結線された負荷の合成インピーダンスを理解し、線間電圧と電流の関係から電流値を求める問題です。
合成インピーダンスの計算方法
- 負荷側のインピーダンスの合成: 図の右側にあるデルタ結線された負荷は、3つの9Ωのインピーダンスがそれぞれ三角形状に接続されています。このデルタ結線されたインピーダンスを、Y結線(スター結線)に変換して考えます。
- Y結線への変換: デルタ結線 () をY結線 () に変換する際の合成インピーダンスは、以下の式で求められます。 ここで、 はデルタ結線における各相のインピーダンスです。この問題では、各相のインピーダンスが9Ωなので、 となります。
- 回路全体の合成インピーダンス: Y結線に変換された3つの3Ωのインピーダンスは、それぞれ直列に接続されている4Ωの抵抗と組み合わさっています。つまり、各線路(電源から負荷までの間)における抵抗は、4Ωの抵抗と、Y結線に変換された3Ωのインピーダンスの和になります。 1線あたりの合成インピーダンス
- 電流の計算: 回路全体にかかる線間電圧は [V] です。オームの法則により、電流 は以下の式で求められます。
思考プロセス
まず、問題図を注意深く観察します。電源は三相三線式であり、電圧は線間電圧 [V] です。負荷側は、各線路に4Ωの抵抗があり、その先にデルタ結線されたインピーダンス(各9Ω)があります。求められているのは、線電流 です。
三相交流回路、特にデルタ結線やY結線が絡む問題では、負荷の結線方法を正しく理解することが重要です。この問題では、負荷側がデルタ結線されているため、そのままでは計算が煩雑になります。そこで、デルタ結線をY結線に変換することで、計算を簡略化するのが定石です。
デルタ結線からY結線への変換公式 を適用します。各相のインピーダンスが9Ωなので、Y結線に変換すると3Ωになります。この3Ωのインピーダンスは、電源から負荷への各線路に直列に接続されている4Ωの抵抗と合わせて考える必要があります。
各線路における等価的なインピーダンスは、4Ωの抵抗と、Y結線に変換された3Ωのインピーダンスの直列接続となります。したがって、1線あたりの合成インピーダンスは 4Ω + 3Ω = 7Ω となります。
最後に、線間電圧 と、求めた合成インピーダンス7Ωを用いて、オームの法則 から線電流 を計算します。これにより、 [A] が得られます。
デルタ結線とY結線の等価変換の重要性
この問題の教育的意図は、三相交流回路における負荷の結線方式(デルタ結線とY結線)とその等価変換の概念を理解しているかを問うことにあります。特に、デルタ結線されたインピーダンスをY結線に変換する公式()は、三相回路の解析において非常に頻繁に用いられます。
この等価変換を理解していると、複雑な三相回路も、より単純なY結線回路として扱うことができ、計算が格段に容易になります。例えば、電力計算や、各線路の電流・電圧降下などを求める際に、この知識は不可欠です。
この問題のように、電源側はY結線(あるいは線間電圧が定義されている)で、負荷側がデルタ結線されている場合、負荷側をY結線に変換するのが一般的な解法となります。逆に、電源側がデルタ結線で負荷側がY結線の場合など、様々な組み合わせがあり、それぞれの変換方法や関係式を正確に把握しておくことが、試験対策として重要です。