第一種電気工事士試験 / 平成30年度 筆記試験(追加試験分) / 問6
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平成30年度 筆記試験(追加試験分) 問6 解説 配電線の電圧降下

設問図

図のような配電線路において, 負荷の端子 電圧200V, 電流10A, 力率80% (遅れ) で ある。1線当たりの線路抵抗が0.4Ω, 線路 リアクタンスが0.3Ωであるとき, 電源電圧Vs の値 [V] は。

  1. イ. 205
  2. ロ. 210 ✓ 正答
  3. ハ. 215
  4. ニ. 220

解説

この問題は、単相2線式配電線路における電源電圧を求める問題です。電圧降下を考慮して、負荷端子電圧に線路での電圧降下を加えることで電源電圧を算出します。

電圧降下を考慮した電源電圧の算出

この配電線路は単相2線式であり、負荷にかかる電圧 (Vr) は 200 V、負荷に流れる電流 (I) は 10 A、力率 (cosθ) は 80 % (遅れ) です。線路の1線あたりの抵抗 (R) は 0.4 Ω、リアクタンス (X) は 0.3 Ω です。

電源電圧 (Vs) を求めるには、負荷端子電圧に線路での電圧降下を加える必要があります。単相2線式配電線路における電源電圧 Vs は、以下の電圧降下式で表されます。

Vs=Vr+I(Rcosθ+Xsinθ)Vs = Vr + I(Rcosθ + Xsinθ)

ここで、

  • VsVs:電源電圧 [V]
  • VrVr:負荷端子電圧 [V]
  • II:負荷電流 [A]
  • RR:線路抵抗 (1線あたり) [Ω]
  • XX:線路リアクタンス (1線あたり) [Ω]
  • cosθcosθ:力率
  • sinθsinθ:力率角のサイン

まず、力率 80 % (遅れ) から cosθ=0.8cosθ = 0.8 であることがわかります。力率角 θ は、直角三角形を考えると、斜辺を1としたときに隣辺が 0.8 となります。三平方の定理より、対辺は 120.82=10.64=0.36=0.6\sqrt{1^2 - 0.8^2} = \sqrt{1 - 0.64} = \sqrt{0.36} = 0.6 となります。したがって、sinθ=0.6sinθ = 0.6 です。

これらの値を電圧降下式に代入します。

Vs=200V+10A×(0.4Ω×0.8+0.3Ω×0.6)Vs = 200 V + 10 A \times (0.4 Ω \times 0.8 + 0.3 Ω \times 0.6) Vs=200V+10A×(0.32Ω+0.18Ω)Vs = 200 V + 10 A \times (0.32 Ω + 0.18 Ω) Vs=200V+10A×0.50ΩVs = 200 V + 10 A \times 0.50 Ω Vs=200V+5VVs = 200 V + 5 V Vs=205VVs = 205 V

したがって、電源電圧 VsVs の値は 205 V となります。

力率と電圧降下の関係

この問題で重要なのは、交流回路における力率と電圧降下の関係です。直流回路では、電圧降下は単純に電流と抵抗の積 (I×RI \times R) で計算できます。しかし、交流回路では、誘導性負荷(コイル)や容量性負荷(コンデンサ)が存在する場合、電流と電圧の間に位相差が生じます。この位相差が力率として現れます。

線路の抵抗成分による電圧降下は電流と抵抗の積 (I×RI \times R) ですが、これは電流と抵抗の位相が一致しているため、負荷端子電圧と同じ位相で考えることができます。一方、線路のリアクタンス成分による電圧降下は電流とリアクタンスの積 (I×XI \times X) ですが、こちらは電流と電圧の間に90度の位相差があります。

遅れ力率の場合、負荷電流は負荷端子電圧よりも位相が遅れます。線路抵抗による電圧降下は負荷電流と同じ位相とみなせますが、線路リアクタンスによる電圧降下は、負荷電流に対してさらに90度進んだ位相(負荷端子電圧に対しては90度遅れた位相)になります。

電源電圧 VsVs は、負荷端子電圧 VrVr と線路の電圧降下(抵抗成分とリアクタンス成分によるもの)のベクトル和となります。このベクトル和を計算するために、上記のような電圧降下式が用いられます。抵抗成分による電圧降下は I×R×cosθI \times R \times cosθ (負荷端子電圧を基準とした成分)、リアクタンス成分による電圧降下は I×X×sinθI \times X \times sinθ (負荷端子電圧を基準とした成分) となり、これらを加算することで近似的な電源電圧を求めることができます。

現場で役立つ知識

この電圧降下を計算する知識は、電気工事士の業務において非常に重要です。例えば、

  • 配線設計: ケーブルの太さを選定する際に、許容電流だけでなく、許容電圧降下も考慮する必要があります。特に、長距離の配線や大電流を流す場合は、線路の抵抗やリアクタンスによる電圧降下が大きくなり、負荷に供給される電圧が低下して機器の正常な動作に支障をきたす可能性があります。
  • トラブルシューティング: 機器が正常に動作しない、電圧が低いといったトラブルが発生した場合、配電線路の電圧降下が原因である可能性も考えられます。この知識があれば、原因究明や対策立案に役立ちます。
  • 容量計算: 配電盤や変圧器の選定においても、配線による電圧降下を考慮して、余裕を持った容量を選定することが求められます。

この問題は、単相2線式という比較的単純な回路を対象としていますが、交流回路の基本的な考え方である電圧降下と力率の関係を理解しているかを確認する意図があります。

参考リンク

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