第一種電気工事士試験 / 平成30年度 筆記試験(追加試験分) / 問7
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平成30年度 筆記試験(追加試験分) 問7 解説 三相配電線の電力損失

設問図

図のように, 定格電圧200V, 消費電力8 kW, 力率0.8 (遅れ) の三相負荷に電気を 供給する配電線路がある。この配電線路の電力 損失 [W] は。 ただし, 配電線路の電線1線当たりの抵抗 は0.1Ωとする。

  1. イ. 100
  2. ロ. 150
  3. ハ. 250 ✓ 正答
  4. ニ. 400

解説

問題の核心:配電線路の電力損失を計算する

この問題は、三相負荷に電力を供給する配電線路における電力損失を求めるものです。電力損失は、配電線路の抵抗と、そこを流れる電流の二乗の積で表されます。そのため、まず負荷にかかる電流を計算し、それを用いて電力損失を算出する手順となります。

電力損失計算の基礎

配電線路の電力損失を計算するためには、以下の知識が不可欠です。

三相電力の基本式

三相交流回路において、有効電力 PP [W] は、線間電圧 VV [V]、線電流 II [A]、力率 cosθ\cos \theta を用いて、以下の式で表されます。 P=3VIcosθP = \sqrt{3}VI\cos\theta

電力損失の基本式

電力損失 PlossP_{loss} [W] は、回路を流れる電流 II [A] と、その回路の抵抗 RR [Ω] を用いて、以下の式で表されます。 Ploss=I2RP_{loss} = I^2R 三相回路の場合、電線は3本ありますので、それぞれの線路での損失を合計することになります。1線あたりの抵抗が RR で、線電流が II の場合、電力損失は 3×I2R3 \times I^2R となります。

問題を解くための思考プロセス

  1. 負荷にかかる電流 II を求める: 問題文より、定格電圧 V=200V=200 V、消費電力 P=8P=8 kW =8000= 8000 W、力率 cosθ=0.8\cos\theta = 0.8 (遅れ) が与えられています。これらの値を三相電力の基本式 P=3VIcosθP = \sqrt{3}VI\cos\theta に代入し、線電流 II について解きます。 8000=3×200×I×0.88000 = \sqrt{3} \times 200 \times I \times 0.8 I=80003×200×0.8I = \frac{8000}{\sqrt{3} \times 200 \times 0.8} I=80001603=503I = \frac{8000}{160\sqrt{3}} = \frac{50}{\sqrt{3}} [A]

  2. 配電線路の電力損失を計算する: 配電線路の電線1線あたりの抵抗は R=0.1R = 0.1 Ω です。三相負荷に供給するため、電線は3本あります。 したがって、配電線路の電力損失 PlossP_{loss} は、1線あたりの損失 I2RI^2R の3倍となります。 Ploss=3×I2×RP_{loss} = 3 \times I^2 \times R Ploss=3×(503)2×0.1P_{loss} = 3 \times \left(\frac{50}{\sqrt{3}}\right)^2 \times 0.1 Ploss=3×25003×0.1P_{loss} = 3 \times \frac{2500}{3} \times 0.1 Ploss=2500×0.1P_{loss} = 2500 \times 0.1 Ploss=250P_{loss} = 250 [W]

この知識が活きる場面と問題の教育的意図

この問題は、電気工事士が実際の現場で遭遇する、電力供給における基本的な計算能力を問うています。配電線路の電力損失を正確に把握することは、以下の点で重要です。

  • 省エネルギー: 電力損失は無駄になるエネルギーであり、損失を最小限に抑えることで、より効率的な電力供給が可能になります。
  • 電圧降下の把握: 電力損失は電圧降下とも密接に関連しており、負荷端での電圧が低下しすぎないように設計・管理するために不可欠です。
  • 設備容量の選定: 配電線路の許容電流や、変圧器などの機器の選定においても、電力損失を考慮した計算が必要です。

この問題では、三相電力の計算、電力損失の計算、そしてそれらを組み合わせるという、一連の電力計算の流れを理解しているかが問われています。特に、三相回路特有の 3\sqrt{3} の扱いと、電力損失が電流の二乗に比例すること、そして3線分の損失を考慮することなどが、理解を深めるポイントとなります。

参考リンク

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