第一種電気工事士試験 / 平成30年度 筆記試験(追加試験分) / 問31
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平成30年度 筆記試験(追加試験分) 問31 解説 ケーブル選定要素

②で示す高圧ケーブルの太さを検討する場合に必要のない事項は。

  1. イ. 電線の許容電流
  2. ロ. 電線の短時間耐電流
  3. ハ. 電路の地絡電流 ✓ 正答
  4. ニ. 電路の短絡電流

解説

高圧ケーブルの太さを選定する際は、平常時の電気を安全に流すための性能と、事故が起きた際の巨大なエネルギーに耐えるための性能の両面から検討します。この問題では、電路に生じる異常電流のうち、ケーブルの物理的な太さ(断面積)を決定する要因にならないものを見分けることがポイントです。

ケーブル選定の3要素を把握する

高圧受電設備の設計において、ケーブルの太さを決める主な要因は、熱的な制約です。具体的には以下の3つのステップで検討が進められます。

  1. 常時流れる負荷電流に対して、ケーブルが過熱しないか(許容電流)
  2. 短絡事故(ショート)が発生したとき、遮断器が遮断するまでのわずかな時間に発生する熱でケーブルが溶けないか(短絡電流および短時間耐電流)
  3. 電圧降下が許容範囲内に収まっているか

選択肢にあるイ、ロ、ハはいずれもこれらに関連する項目ですが、ニの地絡電流だけは、ケーブルの太さを選定する際の直接的な決定要因にはなりません。

熱との戦い:許容電流と短時間耐電流

電線に電流が流れると、電気抵抗によってジュール熱が発生します。ケーブルの絶縁体には耐熱温度(架橋ポリエチレンなら90度など)があり、これを超えると絶縁性能が急速に劣化し、火災や事故の原因となります。

許容電流とは、そのケーブルが連続して流し続けることができる最大の電流値です。使用する負荷の大きさに合わせて、この許容電流が負荷電流を上回るような太さを選ぶのが基本です。

一方、短時間耐電流は、事故時の熱に対する強さを示します。短絡事故が起きると、平常時の数百倍から数千倍という凄まじい電流が流れます。遮断器がこの大電流を止めるまでにはコンマ数秒の時間がかかりますが、その一瞬の熱でケーブルが焼き切れないよう、短絡電流の大きさに応じた十分な太さ(断面積)を確保しなければなりません。

短絡電流と地絡電流の規模の違い

なぜ短絡電流は考慮するのに、地絡電流は考慮しなくてよいのでしょうか。それは、日本の高圧配電系統(6.6kV)の多くが「非接地方式」を採用していることに関係しています。

非接地方式の電路で地絡事故(電気が地面に漏れる事故)が起きても、流れる地絡電流は数アンペア程度と非常に小さな値に留まります。この程度の電流ではケーブルが過熱することはないため、太さを決める要素にはなりません。

一方で短絡電流は、電源の容量によって決まる非常に大きな電流(数千アンペア以上)であり、ケーブルを瞬時に破壊するエネルギーを持っています。そのため、高圧ケーブルの太さを決める計算式には、必ず短絡電流の値が必要となります。

知識の活用と教育的意図

この問題は、単に用語を暗記しているかを問うているのではなく、高圧電気設備の「事故に対する守り方」の本質を理解しているかを問うています。

実務において地絡電流の情報が必要になるのは、ケーブルの太さを選ぶときではなく、地絡保護継電器(DGRなど)の感度設定や、零相変流器(ZCT)の選定を行うときです。

ケーブルの選定ミスは、平常時は問題なく動いているように見えても、いざ事故が起きた際に「遮断器が落ちる前にケーブルが燃え尽きる」という最悪のシナリオを招きます。短絡電流を考慮して太さを決めるという知識は、設備の安全性を担保するためのエンジニアとしての基礎体力と言えるものです。

参考リンク

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