第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問4
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平成30年度 第一種 筆記試験 問4 解説 交流回路の電圧計算

設問図

図のような交流回路において, 電流 I=10 A, 抵抗 R における消費電力は 800 W, 誘導性リ アクタンス XL=16 Ω, 容量性リアクタンス XC=10 Ω である。この回路の電源電圧 V [V] は。

  1. イ. 80
  2. ロ. 100 ✓ 正答
  3. ハ. 120
  4. ニ. 200

解説

この問題は、交流直列回路における電源電圧を求める計算問題です。与えられた消費電力と電流から抵抗を導き出し、さらに誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスを考慮して回路全体のインピーダンスを計算すれば、電源電圧を求めることができます。

まず、抵抗 RR における消費電力 PR=800WP_R = 800 \, W と電流 I=10AI = 10 \, A から、抵抗 RR の値を計算します。 PR=I2RP_R = I^2 R の関係から、R=PR/I2=800W/(10A)2=800/100=8ΩR = P_R / I^2 = 800 \, W / (10 \, A)^2 = 800 / 100 = 8 \, \Omega となります。

次に、回路全体のインピーダンス ZZ を求めます。直列RLC回路のインピーダンスは、Z=R2+(XLXC)2Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2} の式で計算できます。 ここで、R=8ΩR = 8 \, \OmegaXL=16ΩX_L = 16 \, \OmegaXC=10ΩX_C = 10 \, \Omega なので、 Z=82+(1610)2=82+62=64+36=100=10ΩZ = \sqrt{8^2 + (16 - 10)^2} = \sqrt{8^2 + 6^2} = \sqrt{64 + 36} = \sqrt{100} = 10 \, \Omega となります。

最後に、電源電圧 VV を求めます。交流回路におけるオームの法則 V=IZV = I Z を用います。 V=10A×10Ω=100VV = 10 \, A \times 10 \, \Omega = 100 \, V となります。

したがって、正解はロの 100 V です。

交流回路の構成要素と特性

この回路は、抵抗 RR、誘導性リアクタンス XLX_L を持つコイル、容量性リアクタンス XCX_C を持つコンデンサが直列に接続されたRLC直列回路です。 それぞれの素子は、交流電圧が印加された際に異なる特性を示します。

  • 抵抗(R): 電流と電圧の位相が常に同じ(同相)です。電気エネルギーを熱エネルギーとして消費します。消費電力はこの抵抗でしか発生しません。
  • コイル(XLX_L: 誘導性リアクタンス XLX_L を持ち、電流に対して電圧の位相が 9090^\circ 進みます。エネルギーを磁場として蓄えたり放出したりするため、平均的な消費電力はゼロです。
  • コンデンサ(XCX_C: 容量性リアクタンス XCX_C を持ち、電流に対して電圧の位相が 9090^\circ 遅れます。エネルギーを電場として蓄えたり放出したりするため、平均的な消費電力はゼロです。

これらの特性から、回路全体の「抵抗」に相当するインピーダンスを計算する際には、単純な足し算ではなく、それぞれの位相差を考慮したベクトル的な計算が必要になります。

インピーダンス:交流回路の「抵抗」の正体

直流回路では、オームの法則 V=IRV = I R で抵抗 RR を使いますが、交流回路では、抵抗 RR の他にコイルやコンデンサが存在するため、電流の流れにくさを示す「インピーダンス ZZ」という概念を用います。インピーダンスは、抵抗成分(実数部)とリアクタンス成分(虚数部)を組み合わせた複素数で表されますが、その大きさ(絶対値)は三平方の定理を用いて求めることができます。

今回の回路のように、直列接続された抵抗、コイル、コンデンサでは、電流は全ての素子で共通です。それぞれの素子にかかる電圧は位相が異なるため、電源電圧 VV はこれらの電圧のベクトル和となります。この関係を電流で割ったものが、回路全体のインピーダンス ZZ の大きさとして現れます。

リアクタンス成分は、XLX_LXCX_C が互いに逆の位相を持つため、XLXCX_L - X_C の形で差し引きされます。もし XL>XCX_L > X_C なら誘導性、 XC>XLX_C > X_L なら容量性、そして XL=XCX_L = X_C なら共振して抵抗のみの回路として振る舞います。この問題では XL=16ΩX_L = 16 \, \OmegaXC=10ΩX_C = 10 \, \Omega なので、XLXC=6ΩX_L - X_C = 6 \, \Omega となり、回路全体としては誘導性リアクタンスが優勢な回路であることが分かります。

実用的な電気設備設計への応用

交流回路の計算は、電気工事士の業務において非常に重要です。例えば、以下のような場面でこの知識が活用されます。

  • 回路設計と部品選定: 機器を駆動するための電源容量や、過電流保護装置の選定、適切なケーブルサイズの決定には、回路に流れる電流やかかる電圧を正確に把握する必要があります。インピーダンス計算は、これらの基礎となります。
  • 力率改善: 工場などで使用されるモーター(誘導性負荷)が多い場合、力率が低下して無効電力が増加し、電力会社の料金が高くなることがあります。このとき、コンデンサを接続して容量性リアクタンスを付加することで、力率を改善し、効率的な電力供給を実現します。まさに、XLX_LXCX_C をバランスさせる考え方です。
  • フィルタ回路: 不要な周波数のノイズを除去したり、特定の周波数帯の信号を取り出したりするフィルタ回路は、コイルとコンデンサのリアクタンス特性を利用して設計されます。

この問題は、電力とオームの法則、そしてRLC直列回路のインピーダンスの計算という、交流回路の基本中の基本を問うものです。これらの知識は、電気工事士として安全で効率的な電気設備を構築するために不可欠な応用力につながります。

参考リンク

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