第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問6
certification-simodake-work

平成30年度 第一種 筆記試験 問6 解説 単相2線式の電圧降下

設問図

図のように, 単相 2 線式の配電線路で, 抵 抗負荷 A, B, C にそれぞれ負荷電流 10 A, 5 A, 5 A が流れている。電源電圧が 210 V である とき, 抵抗負荷 C の両端の電圧 VC [V] は。 ただし, 電線 1 線当たりの抵抗は 0.1 Ω と し, 線路リアクタンスは無視する。

  1. イ. 201
  2. ロ. 203 ✓ 正答
  3. ハ. 205
  4. ニ. 208

解説

電源から抵抗負荷Cの両端の電圧を求めるには、まず電源からCまでの各区間で発生する電圧降下を合計し、それを電源電圧から差し引きます。

簡潔な解き方

  1. 各区間の電流を特定します。
    • 電源から負荷Aの手前までの区間(I1)には、負荷A、B、Cすべての電流が流れます。 I1=10 A (A)+5 A (B)+5 A (C)=20 AI1 = 10 \text{ A (A)} + 5 \text{ A (B)} + 5 \text{ A (C)} = 20 \text{ A}
    • 負荷Aを過ぎて負荷Bの手前までの区間(I2)には、負荷BとCの電流が流れます。 I2=5 A (B)+5 A (C)=10 AI2 = 5 \text{ A (B)} + 5 \text{ A (C)} = 10 \text{ A}
    • 負荷Bを過ぎて負荷Cの手前までの区間(I3)には、負荷Cの電流のみが流れます。 I3=5 A (C)=5 AI3 = 5 \text{ A (C)} = 5 \text{ A}
  2. 電線1線あたりの抵抗と往復抵抗を確認します。 電線1線あたりの抵抗は 0.1Ω0.1 \Omega です。単相2線式なので、電流は往路と復路の両方を流れるため、各区間の抵抗は往復で 0.1Ω×2=0.2Ω0.1 \Omega \times 2 = 0.2 \Omega となります。
  3. 各区間の電圧降下を計算します。
    • 電源〜A区間: Vd1=I1×0.2Ω=20 A×0.2Ω=4 VVd1 = I1 \times 0.2 \Omega = 20 \text{ A} \times 0.2 \Omega = 4 \text{ V}
    • A〜B区間: Vd2=I2×0.2Ω=10 A×0.2Ω=2 VVd2 = I2 \times 0.2 \Omega = 10 \text{ A} \times 0.2 \Omega = 2 \text{ V}
    • B〜C区間: Vd3=I3×0.2Ω=5 A×0.2Ω=1 VVd3 = I3 \times 0.2 \Omega = 5 \text{ A} \times 0.2 \Omega = 1 \text{ V}
  4. 合計電圧降下を求めます。 Vdtotal=Vd1+Vd2+Vd3=4 V+2 V+1 V=7 VVd_{total} = Vd1 + Vd2 + Vd3 = 4 \text{ V} + 2 \text{ V} + 1 \text{ V} = 7 \text{ V}
  5. 抵抗負荷Cの両端の電圧VCを計算します。 VC=電源電圧Vdtotal=210 V7 V=203 VV_C = \text{電源電圧} - Vd_{total} = 210 \text{ V} - 7 \text{ V} = 203 \text{ V}

したがって、正解はロ. 203です。

電圧降下の基礎知識

電圧降下とは、電流が電線のような抵抗を持つ導体を流れる際に、電線の抵抗によって電圧が消費され、電源側よりも負荷側の電圧が低くなる現象のことです。オームの法則 V=IRV = IR で示されるように、電流 II が抵抗 RR を流れるとき、その抵抗の両端には IRIR だけの電圧差が生じます。配電線路では、電線自体が持つこの抵抗によって電圧が消費されてしまうため、負荷に到達する電圧は電源電圧よりも必ず低くなります。

配電線路における電流の分担と電圧降下の計算方法

この問題は、複数の負荷が直列に接続された配電線路における電圧降下を問うものです。このような回路では、各区間を流れる電流の大きさが異なります。

  1. 電源から最も近い区間: 全ての負荷(A, B, C)に流れる電流の合計がこの区間を流れます。これは、全ての電流がこの区間を通って各負荷へと供給されるためです。
  2. 中間区間: 既に電線から分岐した負荷より下流側の負荷電流の合計が流れます。例えば、負荷Aを過ぎた区間では、負荷Aの電流は既に分岐しているため、負荷BとCの電流の合計が流れます。
  3. 最も遠い区間: その区間より下流にある負荷の電流のみが流れます。例えば、負荷Bを過ぎて負荷Cの手前までの区間では、負荷Cの電流のみが流れます。

各区間を流れる電流が特定できたら、その電流と区間の電線抵抗(往復分)を掛けることで、その区間での電圧降下を計算できます。これらの区間ごとの電圧降下を全て足し合わせることで、電源から特定の負荷までの総電圧降下を求めることができます。

また、単相2線式回路では、電流は電源から負荷へ向かう線(往路)と、負荷から電源へ戻る線(復路)の両方を流れます。そのため、電圧降下を計算する際には、電線1線あたりの抵抗だけでなく、往復分の抵抗を考慮する必要があります。今回の問題では「電線1線当たりの抵抗は0.1Ω」と指定されているため、各区間の抵抗値としては 0.1Ω×2=0.2Ω0.1 \Omega \times 2 = 0.2 \Omega を使用します。

「線路リアクタンスは無視する」という条件は、交流回路において発生するリアクタンス(コイルやコンデンサ成分による電気抵抗のようなもの)を考慮せず、純粋に抵抗成分による電圧降下のみを計算するという意味です。これにより、計算が複雑になるのを防ぎ、電圧降下の基本的な考え方に集中して解答できるようにしています。

実際の現場での電圧降下対策

電圧降下の知識は、電気工事士の業務において非常に重要です。なぜなら、配電設計や配線工事を行う際に、適切な電線の太さを選定するために不可欠な知識だからです。

  • 機器への影響: 過大な電圧降下は、照明の明るさの低下、モーターの出力や始動トルクの低下、ヒーターの加熱能力の減少など、接続機器の性能低下や誤動作を引き起こす可能性があります。特に精密機器や医療機器では、わずかな電圧変動も許されない場合があります。
  • 電線の選定: 電線の太さ(断面積)は、許容電流(安全に流せる最大の電流)だけでなく、電圧降下による制限も考慮して決定されます。特に電線が長くなるほど抵抗が増し、電圧降下が大きくなるため、幹線や長距離配線ではより太い電線を選定する必要があります。日本の内線規程などでは、一般的に幹線や分岐回路における電圧降下の許容値が定められており、通常は電源からの総電圧降下を数パーセント以内に収めるように設計します。
  • 教育的意図: この問題は、基本的な電気回路の法則を理解し、それを具体的な配電線路の問題に応用できるかを確認するためのものです。実務で求められる「適切な配線設計」の基礎となる計算能力を養う上で、非常に良い練習問題と言えます。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう