第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問9
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平成30年度 第一種 筆記試験 問9 解説 配線用遮断器の設置

設問図

図のような低圧屋内幹線を保護する配線用 遮断器 B1 (定格電流 100A) の幹線から分岐 するA~Dの分岐回路がある。A~Dの分岐 回路のうち, 配線用遮断器 B の取り付け位 置が不適切なものは。 ただし, 図中の分岐回路の電流値は電線の 許容電流を示し, 距離は電線の長さを示す。

  1. イ. A ✓ 正答
  2. ロ. B
  3. ハ. C
  4. ニ. D

解説

この問題は、低圧屋内幹線から分岐する回路において、配線用遮断器の設置位置に関する電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)第149条の規定を理解しているかを問うものです。各分岐回路について、分岐点から配線用遮断器までの距離と電線の許容電流が、規定に適合しているかを確認していきます。

解き方の要点:過電流遮断器の設置距離に関するルール

配線用遮断器(過電流遮断器)は、電線が過電流によって焼損し、火災や事故につながるのを防ぐために設置されます。幹線から分岐する回路における過電流遮断器の設置位置については、以下のルールが基本となります。

  • 原則:分岐点から3m以内に設置

    • 幹線から分岐した電線の過電流遮断器は、原則として分岐点から3m以内の箇所に設置しなければなりません(電技解釈第149条第2項)。
  • 例外1:分岐点から3mを超え8m以下の場合

    • 分岐回路の電線の許容電流が、幹線を保護する過電流遮断器(本問ではB1)の定格電流の35%以上である場合は、分岐点から8m以下の箇所に設置することができます(電技解釈第149条第3項)。
  • 例外2:分岐点から8mを超える場合

    • 分岐回路の電線の許容電流が、幹線を保護する過電流遮断器(B1)の定格電流の55%以上である場合は、分岐点から過電流遮断器までの電線の長さに制限はありません(電技解釈第149条第4項)。

ポイント:分岐回路の電線の許容電流の判断 分岐点から過電流遮断器までの間に、電線の太さが変わって許容電流が変化する区間がある場合、その分岐回路の電線の許容電流は、最も小さい許容電流の電線に合わせて判断するのが原則です。これは安全を最優先するためです。

本問では、幹線保護用の配線用遮断器B1の定格電流が100Aですので、各分岐回路の電線の許容電流と比較する基準値は以下の通りです。

  • 35%基準:100A×0.35=35A100A \times 0.35 = 35A
  • 55%基準:100A×0.55=55A100A \times 0.55 = 55A

各分岐回路の適合性チェック

上記のルールと基準値をもとに、各分岐回路の配線用遮断器Bの取り付け位置が適切か不適切かを判断します。

分岐回路 A

  • 分岐点から配線用遮断器Bまでの距離:4m
  • 電線の許容電流:34A
  • 判断:
    • 距離が4mなので、原則の「3m以内」には適合しません。
    • 例外1(3m超8m以下)を適用できるか確認します。電線の許容電流34Aは、幹線遮断器定格電流100Aの35%(35A)未満です (34A<35A34A < 35A)。
    • したがって、例外1の条件を満たさないため、原則通り3m以内に設置する必要があります。
    • 実際の設置距離が4mであるため、これは不適切です。

分岐回路 B

  • 分岐点から配線用遮断器Bまでの距離:5m
  • 電線の許容電流:42A
  • 判断:
    • 距離が5mなので、原則の「3m以内」には適合しません。
    • 例外1(3m超8m以下)を適用できるか確認します。電線の許容電流42Aは、幹線遮断器定格電流100Aの35%(35A)以上です (42A35A42A \ge 35A)。
    • 距離5mは8m以下なので、例外1の条件を満たし、設置は適切です。

分岐回路 C

  • 分岐点から配線用遮断器Bまでの距離:9m
  • 電線の許容電流:61A
  • 判断:
    • 距離が9mなので、原則の「3m以内」や例外1の「8m以下」には適合しません。
    • 例外2(8m超)を適用できるか確認します。電線の許容電流61Aは、幹線遮断器定格電流100Aの55%(55A)以上です (61A55A61A \ge 55A)。
    • 例外2の条件を満たすため、距離に制限はありません。したがって、設置は適切です。

分岐回路 D

  • 分岐点から配線用遮断器Bまでの距離:6m+1m=7m6m + 1m = 7m
  • 電線の許容電流:この回路は、分岐点から6mの区間が42A、その先の1mの区間が24Aとなっています。
  • 判断:
    • 厳密な解釈では、分岐回路の電線の許容電流は最も小さい値である24Aで判断します。
    • この場合、電線の許容電流24Aは、幹線遮断器定格電流100Aの35%(35A)未満です (24A<35A24A < 35A)。
    • したがって、例外1の条件を満たさないため、原則通り3m以内に設置する必要がありますが、実際の距離は7mです。この厳密な解釈では、Dも不適切と判断されます。
    • しかし、本問は「不適切なものは」と一つだけ選択させる形式であるため、Aが明確に不適切であることから、Dについては「分岐点直後の電線の許容電流(42A)で判断する」という、やや試験問題に特化した解釈が必要となる場合があります。
    • もし42Aで判断した場合、42Aは35%以上を満たし、距離7mは8m以下なので適切となります。
    • 通常、試験問題で複数の正解が生じないように意図されているため、Aが最も明確な不適切箇所と判断されます。

以上の判断から、配線用遮断器Bの取り付け位置が不適切なものは、イ. A です。

この知識が活きる場面:安全な電気設備設計と施工のために

この問題で問われた過電流遮断器の設置位置に関するルールは、電気設備の安全を確保するための非常に重要な基礎知識です。

  • 電線の保護: 過電流遮断器は、接続されている電線が過電流によって発熱し、被覆が溶けてショートしたり、火災が発生したりするのを防ぎます。分岐点から遮断器までの距離が長すぎると、その区間の電線が保護されず、事故の原因となりえます。
  • 安全設計の基本: 幹線の途中で分岐する際に、分岐点のすぐ近くに過電流遮断器を設けるのが最も安全な設計です。しかし、設置場所の制約などからやむを得ず距離が離れる場合のために、電線の許容電流が十分高ければ(太ければ)、一時的な過電流にも耐えられるため、ある程度の距離を許容する例外規定が設けられています。
  • 実際の工事現場で: 電気工事士は、建物の配線設計や施工において、これらの規定を遵守する必要があります。どの電線に、どの定格電流の過電流遮断器を、どこに設置するかは、安全な電気設備を構築するための重要な判断ポイントとなります。特に、幹線から分岐する回路では、電線の許容電流と過電流遮断器の定格電流、そして設置距離の関係を常に意識しなければなりません。

これらのルールを正しく理解し、適用することは、電気工事士としての責任と専門性を示すことにつながります。


参考リンク

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