平成30年度 第一種 筆記試験 問43 解説 接地抵抗の図記号
図中の3a 3b に入る図記号の組合せとして、正しいものは。
- イ. ✓ 正答
- ロ.
- ハ.
- ニ.
解説
この問題は、高圧受電設備における接地工事の図記号に関する知識を問うものです。(3a)と(3b)がそれぞれどの機器の接地を示すかを判断し、適切な接地種別を示す図記号を選択します。正解の「イ」は、(3a)がEA、(3b)がEDの組み合わせを示しており、これはそれぞれ避雷器の接地と計器用変成器二次側の接地に対応します。
接地工事の基本と図記号
電気設備において接地工事は、感電事故の防止、機器の損傷防止、および安定した電力供給を確保するために不可欠な安全対策です。第一種電気工事士の試験では、特に高圧受電設備に関する接地工事の種類と、それに伴う図記号が頻繁に出題されます。
基本的な接地工事には、A種、B種、C種、D種の4種類があります。これらは接地抵抗値や適用される回路電圧によって区分され、それぞれ異なる目的と安全基準が設けられています。
- A種接地工事: 高圧または特別高圧機器の金属製外箱などに施され、接地抵抗値は10Ω以下が原則です。
- B種接地工事: 変圧器の高圧側と低圧側の混触による低圧側回路の異常昇圧を防ぐために、変圧器の低圧側中性点または一端に施されます。接地抵抗値は、高圧または特別高圧電路の1線地絡電流と関連して計算されます。
- C種接地工事: 300Vを超える低圧機器の金属製外箱などに施され、接地抵抗値は10Ω以下です(ただし、条件によっては500Ω以下)。
- D種接地工事: 300V以下の低圧機器の金属製外箱などに施され、接地抵抗値は100Ω以下です(ただし、条件によっては500Ω以下)。
これら基本的な接地工事の他に、高圧受電設備の単線結線図や接地工事図で用いられる特殊な図記号があります。これらは、特定の機器や目的のために割り当てられた接地種別を示し、通常、接地記号の下にアルファベット(EA, EB, EC, EDなど)が付記されます。
高圧受電設備における特殊接地記号
高圧受電設備で特に重要な特殊接地記号は以下の通りです。
- EA (Equipment Arrester): 避雷器(LA: Lightning Arrester)の接地。避雷器は、雷サージなどの過電圧から電気設備を保護するための機器であり、その効果を最大限に発揮させるため、接地抵抗値を極めて低く保つ必要があります。このため、避雷器専用の接地としてEAという記号が使われます。
- EB (Equipment Breaker/Enclosure): 受電用遮断器(PAS: Power Automatic Switch、SOG: Sectionalizing Operating Gas switchなど)や開閉器、キュービクルなどの金属製外箱の接地。主にA種接地工事に準拠し、感電防止や機器保護を目的とします。
- ED (Equipment Divider/Device): 計器用変成器(VT: Voltage Transformer, CT: Current Transformer)の二次側回路の接地。特に計器用変圧器(VT)の二次側は、異常昇圧から計器や制御回路を保護するために接地されます。また、電力量計や保護継電器の回路も含まれる場合があります。
- EC (Equipment Capacitor/Compensation): 進相コンデンサなどの力率改善装置の接地。
この問題では、(3a)にEA、(3b)にEDが正解とされています。これは、(3a)が避雷器の接地、(3b)が計器用変成器(VTやCT)の二次側接地を示していると判断できます。
合格への思考プロセスと学習のポイント
第一種電気工事士試験において、図記号問題は単なる暗記だけでなく、その記号がどのような目的で、どのような機器に適用されるのかを理解しているかが問われます。
- 図記号の識別: まず、与えられた図記号が何を意味するのかを正確に識別します。この問題のようにアルファベットが付記された接地記号は、高圧受電設備の特定機器の接地を示していると判断します。
- 機器と接地の関連付け: 高圧受電設備の単線結線図や標準的な設備構成をイメージし、(3a)や(3b)のような位置にどのような機器が配置され、どのような接地が必要とされるかを考えます。今回の場合は、避雷器(LA)と計器用変成器(VT, CT)が該当します。
- 接地種別の理解: 各機器の接地がどのような目的を持ち、どの特殊接地記号に対応するかを覚えます。特にEA(避雷器)、EB(開閉器筐体)、ED(計器用変成器二次側)は頻出です。
- 選択肢との照合: 自分の知識と選択肢を照らし合わせ、正しい組み合わせを選びます。
これらの知識は、試験対策だけでなく、実際の電気工事現場で高圧受電設備の図面を読解し、安全かつ適切に工事を行う上で非常に重要です。特に、接地工事は設備の安全性を担保する最後の砦ともいえるため、その重要性を理解し、正確な知識を身につけることが求められます。