令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問41 解説 THRの動作
①で示す接点が開路するのは。
- イ. 電動機が正転運転から逆転運転に切り替わったとき
- ロ. 電動機が停止したとき
- ハ. 電動機に, 設定値を超えた電流が継続して流れたとき ✓ 正答
- ニ. 電動機が始動したとき
解説
この問題は、シーケンス図における各記号の役割を理解しているかを問うものです。図中の「①」で示されている箇所には「THR」と記載された接点があります。この接点がどのような条件で動作するかを判断できれば正解にたどり着けます。
接点の役割を見抜くポイント
シーケンス図において「THR」はサーマルリレー(熱動継電器)を指します。サーマルリレーの目的は、電動機の過負荷保護です。
図の左側に注目すると、主回路に「THR」の検出部が挿入されています。主回路に過電流が流れると、このTHRが熱を感知して作動し、制御回路(右側の回路)にあるTHRのb接点(回路を遮断する接点)を開放します。これにより電磁接触器(MC)のコイルへの通電が断たれ、電動機が安全に停止する仕組みになっています。したがって、接点が開路するのは「過負荷状態になったとき」であると判断できます。
サーマルリレーの基本動作とシーケンス図の読み方
シーケンス図を読む際は、まずその機器が「主回路」にあるのか「制御回路」にあるのかを区別します。
- 主回路(大電流が流れる回路)にあるTHRは、電動機の電流を監視するセンサーの役割を果たします。
- 制御回路(押しボタンやコイルがある回路)にあるTHRの接点は、センサーが検知した異常を回路に伝えるスイッチの役割を果たします。
通常、制御回路に使われるTHRの接点は、平常時は閉じており(b接点)、異常発生時に開くことで回路を遮断します。なぜ「開く」必要があるのかというと、安全装置としては「回路が断線したり、異常を検知したりした際に自動的に機器を停止させる」というフェイルセーフの考え方が重要だからです。もしa接点(普段開いている接点)を使ってしまうと、接点自体が故障した際に異常を検知できず、電動機が焼損する恐れがあるためです。
電動機制御回路における保護の重要性
この知識は、現場でのトラブルシューティングに直結します。電動機が突然動かなくなった際、確認すべきポイントは「主回路のヒューズか」「電磁接触器のコイルの断線か」それとも「サーマルリレーがトリップしているか」の切り分けです。
サーマルリレーは、単に電動機を止めるだけでなく、電動機の焼損を未然に防ぐための非常に重要な安全装置です。また、問題図のように正転・逆転回路が複雑に組み合わさっている場合でも、サーマルリレーのb接点は必ず主回路電源の入り口付近に配置され、回路全体を無効化できるように設計されています。このような「保護回路の配置の定石」を理解しておくことは、試験対策だけでなく、実際の電気設備における設計図面の読み取り能力を高めることにつながります。