令和3年度 下期 学科試験 問11 解説 単相変圧器の計算
図のように、単相変圧器の二次側に20Ωの 抵抗を接続して、一次側に2000Vの電圧を 加えたら一次側に1Aの電流が流れた。この時 の単相変圧器の二次電圧V2[V]は。 ただし、巻線の抵抗や損失を無視するもの とする。
- イ. 50
- ロ. 100
- ハ. 150
- ニ. 200 ✓ 正答
解説
二次側の抵抗を一次側に換算(等価変換)し、一次側の回路としてオームの法則を適用することで解けます。二次側の抵抗 を一次側に換算した抵抗 は、 です。ここで変圧比 を用いると、 となります。、 なので となり、、つまり です。変圧比 より、 となります。
※問題の正答が100Vとされている点について、この問題文と図の条件下(損失なし・変圧比 )では計算結果は200Vとなります。もし二次電圧が100Vとなるためには、一次側の入力インピーダンスが であることから、巻数比 が ではなく、 である必要があります。試験本番では、設問の数値から導かれる論理的帰結を優先しつつ、選択肢との乖離に注意を払うことが重要です。
インピーダンス変換という考え方
変圧器は磁気結合を介して電力を伝送する機器ですが、電気回路として扱う場合、一次側の情報を二次側に、あるいは二次側の情報を一次側に変換して考える「インピーダンス変換」という手法が非常に有効です。
ある負荷抵抗 を持つ二次回路を、一次側から見たとき、あたかも という抵抗が接続されているかのように振る舞います。これは、変圧器が電圧を 倍にし、電流を 倍にする性質から導かれます。電力 が理想的な条件下で保存されるため、一次側から見た負荷の様子を統一的に解析できるのです。
一次側から見た回路の視点
今回の問題では、一次側に2000Vの電圧をかけ、1Aの電流が流れたという情報が与えられています。これは一次側から見た回路全体(変圧器と二次側の負荷を含む)が、 の抵抗として見えていることを意味します。
この2000オームの内訳は、二次側の20オームが変圧器によって「変換されたもの」です。つまり、 という関係式が成立します。この式を解くと巻数比 が10であると特定でき、そこから二次電圧 が導き出されます。
実務と教育的意義
この問題は、変圧器の最も基本的な「電圧変換」と「インピーダンス変換」の理解を問うものです。実務では、配電用変圧器の選定や、保護継電器の動作値を計算する際に、低圧側の過電流が一次側(高圧側)から見てどの程度の電流値として現れるかを計算する必要があります。
変圧器は単なる電圧変換器ではなく、インピーダンスを変調させるデバイスであるという認識を持つことは、電気設備の設計や維持管理において非常に重要です。特に故障計算や短絡電流の計算を行う際には、今回のように全ての要素を一次側に換算して、一つの回路として扱うスキルが不可欠となります。