令和3年度 下期 学科試験 問13 解説 LEDランプの特性
LEDランプの記述として、誤っているものは。
- イ. LEDランプはpn接合した半導体に電圧を加えることにより発光する現象を利用した光源である。
- ロ. LEDランプに使用されるLEDチップ(半導体)の発光に必要な順方向電圧は、直流100V以上である。 ✓ 正答
- ハ. LEDランプの発光原理はエレクトロルミネセンスである。
- ニ. LEDランプには、青色LEDと黄色を発光する蛍光体を使用し、白色に発光させる方法がある。
解説
この問題は、LED(発光ダイオード)の基本的な電気特性を知っていれば、一目で誤りを見抜くことができます。正解の根拠は「LED素子にかかる電圧は非常に小さい」という点です。
LEDの動作原理と順方向電圧
LEDは半導体のpn接合に順方向の電圧を加えた際に、電子と正孔が再結合し、そのエネルギーが光として放出される仕組み(エレクトロルミネセンス)を利用した光源です。
このとき、LEDチップそのものが発光するために必要な順方向電圧(Vf)は、赤・緑・青などの発光色や材料によって異なりますが、一般的にはおよそ2Vから4V程度です。選択肢ロにある「直流100V以上」という記述は、LEDチップの特性からすると極めて不自然な値です。
家庭用のLED照明器具が100Vの交流電源で動作しているのは、内部に「LEDドライバ」や「安定器」と呼ばれる回路が組み込まれているからです。これらの回路が、高い商用電源電圧をLEDチップが発光可能な低い直流電圧に変換・降圧して供給しています。つまり、100Vで駆動しているのは「器具全体」であって、「チップ単体」ではないことを区別する必要があります。
選択肢の判断プロセス
試験会場では以下の観点で各選択肢を検討します。
・イについて:LEDの定義そのものです。pn接合に順方向電圧をかけて電流を流すことで発光するため、正しい記述です。 ・ロについて:前述の通り、チップ単体の電圧は数ボルト程度です。100VもあればLEDチップは即座に破壊されてしまいます。よって、これが誤りとなります。 ・ハについて:LEDの発光原理は、電界を加えることで物質が発光するエレクトロルミネセンスの一種です。技術的に正しい記述です。 ・ニについて:白色LEDを作るための一般的な手法の一つです。青色LEDの光を黄色の蛍光体に照射し、その混合色によって人間の目に白として認識させる方式は、現在の照明分野で主流となっています。
この知識が現場で役立つ理由
電気工事士として照明器具の交換やトラブルシューティングを行う際、LEDの仕組みを理解しておくことは重要です。例えば、LED器具が点灯しない場合、問題が商用電源(100V)側にあるのか、器具内部の変換回路(ドライバ)にあるのか、あるいはLEDチップ自体の寿命なのかを推測する手がかりになります。
また、LEDは極性(プラスとマイナス)を持つ半導体素子であるという基本を理解していれば、低圧機器の制御回路設計や配線における基本的な注意点も自然と整理できるようになります。試験問題としては、物理的な数値の桁感覚を問うことで、その技術が「高圧」なのか「低圧」なのかを正しく理解しているかを確認する意図があります。