令和3年度 下期 学科試験 問23 解説 電力用コンデンサの用途
写真に示す機器の用途は。
- イ. 力率を改善する。 ✓ 正答
- ロ. 電圧を変圧する。
- ハ. 突入電流を抑制する。
- ニ. 高調波を抑制する。
解説
この写真に写っている機器は「進相コンデンサ」です。進相コンデンサの主目的は「力率の改善」であるため、選択肢イを選ぶのが正解となります。
進相コンデンサとは何か
電気設備において、モータや変圧器などの誘導負荷は、電流の位相が電圧よりも遅れる「遅れ力率」という特性を持っています。力率が低いと、同じ電力を供給するのにもより多くの電流が必要となり、電線や変圧器での損失が増加してしまいます。
進相コンデンサは、これとは逆の性質である「進み電流」を流す特性を持っています。これを誘導負荷と並列に接続することで、遅れ電流を打ち消し、全体としての力率を「1(100%)」に近づける役割を果たします。
写真から機器を識別する方法
試験対策において、機器を外観から判別する力は非常に重要です。進相コンデンサの外観には、以下のような特徴があります。
- 箱型の金属ケースに、3つの碍子(がいし)が突き出ている。
- 側面や銘板に「静電容量(μF)」や「定格電圧」「定格容量(kvar)」が記載されている。
- 比較的小型のものは単体で設置されますが、高圧受電設備では盤内に格納されたり、力率改善用として系統に接続されたりします。
この特徴を覚えておくことで、「変圧器(トランス)」や「リアクトル」といった他の外観が似た機器と混同することを防げます。
なぜ力率改善が必要なのか
実務において、この機器を設置する意義は「電気料金の削減」と「設備利用率の向上」にあります。
多くの電力会社では、力率が85%を下回ると電気料金に割増が課され、逆に85%を上回ると割引が適用される仕組み(力率割引・割増制度)を採用しています。進相コンデンサを設置して力率を改善することは、電気代を直接的に安くする経済的なメリットがあります。
また、力率を改善すると、電線に無駄な電流を流さなくて済むため、同じ太さの電線でもより多くの有効電力を送れるようになります。つまり、変圧器や配線の容量に余裕が生まれ、設備をより有効に活用できるという技術的な利点もあります。試験ではこの「力率改善=電気料金と設備負担の最適化」というセットで記憶しておくのが最も効率的です。