第一種電気工事士試験 / 令和3年度 下期 学科試験 / 問31
certification-simodake-work

令和3年度 下期 学科試験 問31 解説 高圧受電設備の機器構成

設問図

問30から問34までは,下の図に関する問いである。 図は,自家用電気工作物内の高圧受電設備を表した図である。 この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。

  1. ✓ 正答

解説

高圧引込ケーブルの太さを決める際に考慮すべきは「ケーブルが燃え尽きないこと」と「過熱して劣化しないこと」の2点に集約されます。今回の問題は、この根拠に基づいて判断すれば正解にたどり着けます。

ケーブルの太さを決める3つの基準

高圧ケーブルの選定において、実務的かつ試験的に重要な検討事項は以下の3点です。

  1. 許容電流:定常状態で電流を流し続けても、ケーブルの絶縁被覆が熱で劣化しないこと。
  2. 短絡電流と短時間耐電流:万が一、短絡事故が発生した際、遮断器が動作するまでの短い間に発生する巨大な熱エネルギーにケーブルが耐えられること。
  3. 電圧降下:長距離配線の場合、末端で規定の電圧を維持できること(※今回は引込ケーブルに関する設問のため、主に前者の2点が重要視されます)。

これらに対し、選択肢の「1線地絡電流」は、地絡継電器の動作や接地工事の設計には深く関わりますが、ケーブルそのものの太さ(公称断面積)を決定する直接的な要因にはなりません。したがって、選択肢ロが不要な事項となります。

思考のプロセス:なぜ地絡電流は不要なのか

試験で迷ったときは、その数字が何を決定するためのものかを考えます。

まず「短絡電流」は、ケーブルの熱的耐量(ハ)を計算する際の入力値となります。短絡時には定格の数十倍以上の電流が流れるため、その熱に耐えられる太さを選定しなければなりません。また「許容電流」は、常時の負荷電流に基づいて選ぶ(ニ)ための基準です。

一方で「地絡電流」は、地絡事故が発生した際に地絡継電器(GRやDGR)を動作させたり、接地抵抗値を計算して電位上昇を抑えたりするために必要となる数値です。地絡電流の大きさによって接地極の仕様や保護リレーの整定値は変わりますが、ケーブルの導体そのものの太さを、地絡電流だけを根拠に太くすることは通常ありません。

実務における設計の考え方

この問題の教育的意図は、電気設備技術基準および内線規程における「ケーブルの許容電流」と「短時間耐電流」の概念を正しく理解しているかを問うことにあります。

実際の電気設計の現場では、以下のステップでケーブルを選定します。

  1. 負荷の最大電流から、必要な許容電流を持つケーブルを仮選定する。
  2. その受電点の短絡容量(短絡電流)を確認し、仮選定したケーブルがその短絡電流(数秒〜数サイクル)に耐えられるか計算する。
  3. もし耐えられない場合は、許容電流には余裕があっても、短絡耐量を満たすためだけにワンサイズ太いケーブルを選定し直す。

このように、ケーブル選定は「熱」との戦いです。地絡電流は「地絡保護」の議論であり、ケーブル選定という「熱耐量」の議論とは切り離して考えるのが、試験のみならず実務設計上の定石となります。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう