令和3年度 下期 学科試験 問36 解説 過電流継電器試験
過電流継電器の最小動作電流の測定と限時 特性試験を行う場合, 必要でないものは。
- イ. 電力計 ✓ 正答
- ロ. 電流計
- ハ. サイクルカウンタ
- ニ. 可変抵抗器
解説
この問題は、過電流継電器(OCR)の試験において「何を測定し、そのために何が必要か」を整理することで解くことができます。
過電流継電器の試験における測定項目は「動作電流」と「動作時間」の2点です。動作電流を測定するには電流を流して調整するための機器が必要であり、動作時間を測定するにはタイマーが必要となります。これら以外の計測器は、試験の目的と合致しないため不要と判断します。
継電器試験に必要な測定器の役割
過電流継電器の特性試験では、以下の機器を用いて試験回路を構成します。
・電流計:継電器に流れる電流値を確認するために使用します。 ・可変抵抗器:継電器に流れる電流を目的の値まで増減させるために使用します。 ・サイクルカウンタ:継電器が動作するまでの時間を測定するために使用します。これは電源周波数のサイクル数(または秒数)を計測するタイマーの役割を果たします。
一方、電力計は電圧と電流の積(および力率)を測定する計器であり、過電流継電器が一定以上の電流で動作するかどうかを判定する試験には必要ありません。
試験回路を組み立てる思考プロセス
本問を解く際は、試験装置の目的から逆算するのが近道です。
- 目的を確認する:この試験は「電流がいくらになったら、どれくらいの速さで動作するか」を調べるものです。
- 測定項目を特定する:電流の大きさ(アンペア)と、動作するまでの時間(秒またはサイクル数)の2点です。
- 必要な計測器を割り当てる:
- 電流を確認する → 電流計
- 時間を計測する → サイクルカウンタ(タイマー)
- 電流を制御する → 可変抵抗器(またはスライダックなどの変圧器)
- 不要なものを除外する:測定の目的に「電力(ワット)」の概念は含まれていないため、電力計が不要であると判断します。
試験現場における保護継電器試験の重要性
この知識は、実際にビルや工場などの受変電設備を保守・点検する現場で不可欠です。保護継電器は事故時に回路を遮断して被害を最小限に抑える「最後の砦」です。そのため、経年劣化により設定値がずれていないか、あるいは固着して動作しなくなっていないかを定期的に試験する必要があります。
試験では、単に計測器を並べるだけでなく、正しい電流値を正確に流し、その時のタイムラグがメーカーの公表する特性曲線と一致するかを確認します。もし試験機材の選定を誤れば、正常な動作かどうかの判定ができません。現場の技術者は、試験器の構成が試験の目的に対して最適であるかを常に意識して作業を行っています。