令和3年度 下期 学科試験 問35 解説 漏えい電流の基準値
「電気設備の技術基準の解釈」において, 停電が困難なため低圧屋内配線の絶縁性能を, 漏えい電流を測定して判定する場合, 使用電 圧が 200 V の電路の漏えい電流の上限値とし て, 適切なものは。
- イ. 0.1 mA
- ロ. 0.2 mA
- ハ. 1.0 mA ✓ 正答
- ニ. 2.0 mA
解説
この問題は、電気設備の技術基準の解釈における絶縁性能の判定基準を知っているかどうかを問う知識問題です。答えを導くための判断基準は「漏えい電流の上限値は電圧に関わらず一律で1mA」というルールのみです。
絶縁性能の判定基準
低圧電路における絶縁性能の測定には、大きく分けて二つの方法があります。一つは絶縁抵抗計(メガー)を使用して絶縁抵抗値を測定する方法、もう一つは、今回のように停電が困難な場合に漏えい電流を測定する方法です。
技術基準の解釈において、漏えい電流による判定を行う場合の基準値は以下の通り定められています。
- 電路の絶縁性能は、漏えい電流が1mA以下であること。
ここで重要なのは、この「1mA」という数値は、使用電圧が100Vであっても200Vであっても、あるいはそれ以外の電圧であっても変わらないという点です。電圧値が選択肢に提示されていますが、これは受験生を惑わせるための情報であり、計算によって数値を導き出す必要はありません。
解答に至る思考プロセス
この問題を解く際の思考手順は非常にシンプルです。
- 問題文から「漏えい電流による絶縁性能の判定」であると認識する。
- 適用される規定が「漏えい電流の最大値は1mA以下」であることを思い出す。
- 問題文にある「使用電圧200V」という条件に左右されず、規定値である「1mA」を正解として選択する。
試験本番では、電圧の値を見て「200Vだから電流は2倍の0.2mAではないか?」といった勘違いを誘うひっかけ問題に注意する必要があります。しかし、絶縁性能の基準はあくまで安全性確保のためのベースラインですので、電圧によらず厳しい基準が一律に適用されると覚えておけば迷うことはありません。
実務現場における絶縁管理の意義
この知識は、実際の電気保安業務において日常的に活用されます。病院やデータセンター、工場など、24時間稼働が求められる施設では、絶縁抵抗を測定するために停電を伴う検査を行うことが困難です。そのような現場で、通電状態のまま設備の健全性を確認するために「漏えい電流計(リーククランプメータ)」を用いた管理が行われています。
もし漏えい電流が1mAを超えている場合、どこかで地絡が発生している、あるいは絶縁劣化が進行している疑いがあると判断します。電気工事士として、単に試験に合格するための数値として覚えるだけでなく、現場で設備の異常をいち早く察知するための「保安の境界値」としてこの数値を理解しておくことが、安全な電気設備を守る上で非常に重要です。