令和3年度 上期 筆記試験 問17 解説 架空送電線の雷対策
架空送電線の雷対策として、誤っている ものは。
- イ. 架空地線を設置する。
- ロ. 避雷器を設置する。
- ハ. 電線相互に相間スペーサを取り付ける。 ✓ 正答
- ニ. がいしにアークホーンを取り付ける。
解説
この問題は、雷による電気設備への被害を防止するための「防護機器や手法」と、それ以外の「運用・維持管理上の対策」を区別できるかを問う問題です。雷対策として正しいものを一つずつ消去法で検討し、本来の目的が異なる選択肢を見つけ出すのが正攻法です。
雷から送電線を守る仕組み
雷対策の目的は、大きく分けて「雷を電線に当てないこと」と「当たってしまった雷の影響を最小限に抑えること」の二つです。
・架空地線 送電線の上部に張られる接地された導線です。雷を電線よりも先に受け止めることで、送電線への直撃雷を防ぎます。
・避雷器 電力系統に異常電圧(サージ)が侵入した際、そのエネルギーを大地に逃がし、後続の設備を保護する機器です。変電所の入り口などで必須の設備です。
・アークホーン(放電角) がいし装置に取り付けられる金属製の角です。雷などで異常電圧が発生した際、がいしの表面を飛び越えて放電(フラッシオーバ)させるのではなく、アークホーン間で放電させることで、がいし本体の破損や破壊を防ぎます。
なぜ相間スペーサは雷対策ではないのか
選択肢ハにある相間スペーサは、送電線同士が風などで大きく揺れた際に、電線同士が接近して接触し、短絡(ショート)事故が起きるのを防ぐための器具です。
雷対策が「異常な電圧や電流」から設備を守るものであるのに対し、相間スペーサは「物理的な位置関係」を制御するためのものです。試験ではこのように、類似した送電設備機器を混ぜて、その目的を正しく理解しているかを確認する出題がよく見られます。
試験における知識の活用と構造
この種の問題は、設備機器が「何のために存在しているか」という目的を理解しているかを問うています。第一種電気工事士の試験では、高圧・特別高圧設備の運用現場において、どのようなトラブルに対してどの装置を設置すべきかという「トラブルシューティングの基礎」が重要視されます。
雷対策=過電圧保護、相間スペーサ=接触防止、という明確な役割分担を整理しておくことは、現場での保守点検計画を立てる際や、トラブル発生時の状況判断を迅速に行うための土台となります。