令和3年度 上期 筆記試験 問18 解説 電線のたるみ計算
水平径間120mの架空送電線がある。 電線1m当たりの重量が20N/m, 水平引張 強さが12000Nのとき, 電線のたるみD[m] は。
- イ. 2
- ロ. 3 ✓ 正答
- ハ. 4
- ニ. 5
解説
電線のたるみを求める公式 に、与えられた数値を代入することで解けます。
(電線1m当たりの重量) (水平径間) (水平引張強さ)
これらを公式に当てはめると、以下の通り計算できます。
したがって、正解はロとなります。
たるみと張力の関係性
架空送電線において、電線は自重によって下にたわみます。この曲線を懸垂曲線(カテナリー)と呼びますが、架線設計の計算では、たるみが径間に比べて十分に小さい場合、放物線として近似計算を行うのが一般的です。この公式における各変数は、物理的に以下のような関係を持っています。
- たるみ は、電線の重量 に比例し、水平引張強さ に反比例します。つまり、重い電線を使うほど、あるいは引っ張る力が弱いほど、たるみは大きくなります。
- 水平径間 の2乗に比例します。このことは、電柱間の距離が2倍になれば、たるみは4倍になることを意味しており、線路設計における非常に重要な制約条件となります。
計算問題を攻略するポイント
この問題は、公式の暗記と適切な数値代入ができるかを問う標準的な出題です。計算ミスを防ぐためのコツは、計算の途中で約分を積極的に活用することです。
今回の計算であれば、 と展開し、 と を約分して分母に を残すなど、大きな数値を扱わずに処理する工夫が合格への近道です。
送電技術におけるたるみの重要性
実際の送電線建設において、この計算は極めて実用的な意味を持ちます。たるみを適切に管理しないと、以下のリスクが生じるためです。
- 建築限界の確保:たるみが大きすぎると、地面や障害物との離隔距離が不足し、感電や短絡事故の原因となります。
- 機械的ストレス:逆に、たるみを小さくしようとして過度に引っ張りすぎると(張力を上げると)、電線や支持物である鉄塔に過大な機械的荷重がかかり、断線や倒壊のリスクが高まります。
現場の設計者は、周囲の気温変化による電線の伸縮や、風圧・着氷による荷重の変化を考慮した上で、最も安全な張力とたるみをこの計算式をベースに決定しています。