令和3年度 上期 筆記試験 問32 解説 地中ケーブル施設
③に示す地中にケーブルを施設する場合、 使用する材料と埋設深さの組合せとして、 不適切なものは。 ただし、材料はJIS規格に適合するものと する。
- イ. ポリエチレン被覆鋼管 舗装下面から0.3m
- ロ. 硬質ポリ塩化ビニル電線管 舗装下面から0.3m ✓ 正答
- ハ. 波付硬質合成樹脂管 舗装下面から0.6m
- ニ. コンクリートトラフ 舗装下面から0.6m
解説
地中電線路の埋設工事における深さの規定は、電線管の種類と設置場所(車両等の圧力を受けるか否か)によって細かく定められています。この問題は、原則的な埋設深さである0.6mと、堅牢な防護措置を講じた場合の緩和規定(0.3m)を正しく区別できているかが問われています。
埋設深さの規定と車両通行の影響
地中電線路を埋設する場合、原則として車両その他の重量物による圧力を受ける場所では、埋設深さを0.6m以上とする必要があります。しかし、金属管や硬質ポリ塩化ビニル管など、十分な強度を持つ管を使用して防護する場合は、0.3mまで深さを緩和できるという特例があります。
この問題のポイントは、コンクリートトラフのような防護材が、この「0.3mまで緩和できる材料」に含まれるかどうかです。結論から述べると、コンクリートトラフや外径や強度が規定を満たさない管を用いる場合、原則通り0.6m以上の深さが必要となります。選択肢ニは「0.6m」と記載されていますが、問題文が「不適切なもの」を求めているため、トラフを使用する場合の基準との整合性を確認する必要があります。
試験で問われる重要な基準を整理します。
- 原則:0.6m以上。
- 堅牢な管(金属管、硬質ポリ塩化ビニル管等)を使用する場合:0.3mまで緩和可能。
- トラフ等の防護装置を使用する場合:原則通り0.6m以上の深さが必要となる。
選択肢を検討すると、イ(鋼管)とロ(硬質ポリ塩化ビニル管)は堅牢な管として0.3mまで緩和が認められています。ハ(波付硬質合成樹脂管)は堅牢な管には該当しませんが、0.6m以上の深さを確保しているため適切です。ニについては、トラフは堅牢な管ではないため、0.3mという緩和措置は適用できず、0.6m以上の埋設が求められます。
問題の構造と合格への思考法
この問題を解くための思考プロセスは以下の通りです。
- まず「車両の圧力を受ける場所か」を確認する。今回は舗装下面であるため、圧力を受ける条件である。
- 適用される埋設深さの原則である0.6mを基準として想起する。
- 選択肢の材料が「0.3mまで緩和できる対象か」を判別する。
- 緩和対象:金属管、硬質ポリ塩化ビニル管など。
- 非対象(原則通り0.6m):トラフ、波付硬質合成樹脂管、ケーブル直接埋設など。
- 材料と深さの組み合わせが、その材料に許された最短距離以上であるかを確認する。
コンクリートトラフ自体は非常に堅牢な保護材ですが、電気設備技術基準の解釈において、埋設深さの緩和規定を受ける「管」の分類とは別の扱いになります。試験では「堅牢な管」のリスト(金属管、硬質ポリ塩化ビニル管など)を正確に暗記し、それ以外はすべて0.6mが原則であると覚えておくことが最も効率的な攻略法です。
現場での活用と安全管理
この知識は、現場での配管工事の計画段階で直接的に活用されます。特に都市部の舗装下には、ガス管や水道管、通信ケーブルが複雑に埋設されています。掘削可能な深さが制限されている現場では、どの管材を選択すれば0.3mの埋設で済むのか、あるいはトラフを使うことでどのような制約が生じるのかを判断する根拠となります。
また、単に試験に合格するためだけでなく、埋設深さが不十分な状態で車両が通行すれば、管やトラフが破損し、中のケーブルに損傷を与えるリスクがあります。法令上の基準は、長期間のインフラ運用における安全を担保するための最低限のガードレールであると理解してください。