第一種電気工事士試験 / 令和4年度 第一種 筆記試験 午後 / 問4
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令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問4 解説 交流回路の力率

設問図

図のような交流回路において,抵抗R=10Ω, 誘導性リアクタンスXL=10Ω,容量性リアク タンスXC=10Ωである。この回路の力率[%]は。

  1. イ. 30
  2. ロ. 50
  3. ハ. 70
  4. ニ. 100 ✓ 正答

解説

この問題は、交流回路における直列共振現象を理解しているかを問うものです。計算の手順は以下の通りです。

  1. 合成インピーダンス ZZ を求める。直列回路において Z=R2+(XLXC)2Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2} である。
  2. 与えられた値を代入する。R=10ΩR = 10 \OmegaXL=10ΩX_L = 10 \OmegaXC=10ΩX_C = 10 \Omega なので、Z=102+(1010)2=100=10ΩZ = \sqrt{10^2 + (10 - 10)^2} = \sqrt{100} = 10 \Omega となる。
  3. 力率 cosθ\cos\theta を求める。cosθ=R/Z=10/10=1\cos\theta = R / Z = 10 / 10 = 1 となり、百分率で表すと 100%100 \% である。

リアクタンスの打ち消し合いと共振

交流回路において、誘導性リアクタンス XLX_L は電流の位相を遅らせ、容量性リアクタンス XCX_C は電流の位相を早めるという逆の性質を持っています。これらが直列に接続されている場合、両者の電圧降下は互いに逆位相となるため、合成リアクタンス X=XLXCX = X_L - X_C として相殺されます。

本問のように XL=XCX_L = X_C となる状態を「直列共振」と呼びます。このとき、回路全体のリアクタンス成分はゼロになり、インピーダンスは抵抗成分 RR のみとなります。結果として、電圧と電流の位相差がなくなり、力率は最大値である 11(すなわち 100%100 \%)となります。

回路図から読み取る直列回路の性質

この回路は単なる抵抗とリアクタンスの組み合わせに見えますが、試験においては「回路全体のインピーダンスが抵抗だけで決まる特殊な状態」を見抜くことが重要です。

思考プロセスとしては、まず回路の構成(直列か並列か)を確認し、次に各リアクタンスの値を比較します。もし XLX_LXCX_C が等しければ、即座に「共振状態であり、リアクタンス分は無視してよい」と判断できます。複雑な計算式を立てる前に、値の関係性に注目することで、計算ミスを減らし、素早く正解にたどり着くことができます。

実務と教育的意義

この知識は、電気機器の設計や調整において非常に重要です。例えば、無線通信におけるフィルタ回路や、電力系統における力率改善装置などは、このリアクタンスの打ち消し合いを利用しています。

第一種電気工事士の試験においてこの問題を解くことは、交流理論の基本である「位相」と「共振」の関係を深く理解しているかを確認する目的があります。現場で発生する異常電圧や電流の変動は、こうしたリアクタンスのバランスが崩れた際に起こりやすいため、基礎理論としての共振を理解しておくことは、将来的に高圧受変電設備のメンテナンスを行う際にも役立つ視点となります。

参考リンク

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