令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問29 解説 低圧屋内配線工事
点検できる隠ぺい場所で、湿気の多い場所 又は水気のある場所に施す使用電圧300V以下 の低圧屋内配線工事で、施設することができ ない工事の種類は。
- イ. 金属管工事
- ロ. 金属線ぴ工事 ✓ 正答
- ハ. ケーブル工事
- ニ. 合成樹脂管工事
解説
場所に応じた工事手法の選択ルール
この問題は、電気設備技術基準で定められた「場所」と「使用可能な工事方法」の対応関係を問うものです。湿気の多い場所や水気のある場所では、腐食や漏電を防ぐために金属線の露出や隙間を厳しく制限する必要があります。今回の設問では、選択肢の中で唯一「金属線ぴ工事」だけが、これらの環境での施工を認められていないため、これが正解となります。
金属線ぴ工事が適さない理由
金属線ぴ工事は、比較的乾燥した屋内で、露出して施工されることが多い工法です。金属線ぴは構造上、気密性が低く、内部に湿気が入り込みやすい特徴があります。湿気の多い場所や水気のある場所でこれを使用すると、以下のリスクが生じます。
・内部で結露や浸水が発生し、絶縁被覆の劣化を早める。 ・金属製の本体が湿気により腐食し、強度が低下する。 ・金属部分を介して接地(アース)が不完全な場合、漏電時に感電のリスクが高まる。
そのため、電気設備に関する技術基準を定める省令および内線規程において、金属線ぴ工事は「乾燥した場所」に限って施設することが認められています。
湿気の多い場所でも施設可能な工事との比較
一方で、金属管工事、ケーブル工事、合成樹脂管工事は、以下の理由から湿気の多い場所でも採用可能です。
・金属管工事は、ねじ切り式の接続や適切な防湿処置を施すことで、気密性を確保できる。 ・ケーブル工事は、ケーブル自体が湿気に強い構造をしており、適切な支持を行えば劣化を防げる。 ・合成樹脂管工事は、プラスチック製であるため水に強く、腐食の心配が一切ない。
これらの工事手法は、施工時の接続部で防湿処理を適切に行うことを前提に、湿度の高い環境や水回りでも使用できると定義されています。試験対策としては、消去法で選ぶよりも、まず「金属線ぴは乾燥した場所専用」というルールをセットで覚えておくのが効率的です。
現場で求められる判断力
この知識は、実際の電気工事の設計や施工において非常に重要です。現場の環境条件を把握せず、乾燥した屋内と同じ感覚で資材を選定してしまうと、将来的な漏電事故や設備の早期故障につながります。第一種電気工事士は、単に試験に合格するだけでなく、その先の安全な施工を担保する責任があるため、このような場所による工事の制限を正確に理解しておく必要があります。