令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問30 解説 高圧受電設備図
問30から問34までは、下の図に関する問いである。 図は、自家用電気工作物(500kW未満)の引込柱から屋内キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620適合品)に至る施設の見取図である。この図に関する各問いには、4通りの答え(イ、ロ、ハ、ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して、答えを一つ選びなさい。 〔注〕図において、問いに直接関係のない部分等は、省略又は簡略化してある。
- イ. ✓ 正答
- ロ.
- ハ.
- ニ.
解説
ケーブルの終端接続部において、ストレスコーンは「電界の集中を緩和し、絶縁破壊を防ぐもの」と定義されています。したがって、「雷サージ電圧の侵入を緩和する」という記述がある選択肢は誤りです。
ストレスコーンの役割と原理
高圧ケーブルの端末処理では、ケーブルの遮へい層(金属シースや銅テープなど)を剥ぎ取ります。この剥ぎ取った箇所(端末端部)では、静電容量の変化により、内部の絶縁体へ向けて電気的なストレスが集中します。このままでは電界強度が極端に高まり、絶縁破壊(パンク)を引き起こしてしまいます。
ストレスコーンは、ケーブル絶縁体の上に導電性のあるゴムや半導電層を円錐状(コーン状)に配置することで、等電位面をなだらかに広げる役割を担います。これにより、局所的な電界の集中を抑え、安定した絶縁性能を維持します。
誤りの選択肢を判断するプロセス
この種の問題を解く際は、目的と手段を明確に区別することが重要です。
- ケーブル終端部で発生する現象は何かを特定する:高圧ケーブルの端末では、シールド層の終端部において電界が集中し、絶縁破壊が起きやすいという物理的特性があります。
- ストレスコーンの機能を思い出す:ストレスコーンは「電界緩和」のための部材です。
- 選択肢の内容を対比させる:「電界集中」という物理的な問題解決に対し、「雷サージ(過電圧保護)」という別の役割を混ぜていないかを確認します。雷サージ対策は、避雷器などの別の機器が担う役割です。
試験では「電界緩和」と「サージ保護」を混同させるひっかけ問題が頻出するため、専門用語の意味を正確に理解しておくことが、消去法に頼らず正解を導く近道となります。
実務における知識の重要性
この知識は、現場でのケーブル端末処理を行う際、なぜその作業が必要なのかという理解に直結します。例えば、ストレスコーンの取り付け位置がわずかでもずれたり、表面にゴミや油分が付着したりすると、電界緩和の効果が損なわれ、絶縁破壊事故につながります。
電気工事士として配線工事や機器のメンテナンスを行う際、「ここになぜこの部材があるのか」という構造的理解を持っていることは、施工ミスを防ぎ、将来的な設備トラブルを予測するためのプロフェッショナルとしての判断基準となります。試験問題の背景にある「絶縁を守るための技術」という視点を意識してください。