令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 問6 解説 単相2線式の電圧降下
図のように, 単相2線式の配電線路で, 抵抗負荷A, B, Cにそれぞれ負荷電流10A, 5A, 5Aが流れている。電源電圧が210Vである とき, 抵抗負荷Cの両端の電圧Vc[V]は。 ただし, 電線1線当たりの抵抗は0.1Ωと し, 線路リアクタンスは無視する。
- イ. 201
- ロ. 203 ✓ 正答
- ハ. 205
- ニ. 208
解説
各区間の線路電流を特定し、オームの法則を用いて電源から負荷Cまでの電圧降下を合計して、電源電圧から差し引くことで求めます。計算手順は以下の通りです。
- 各区間を流れる電流を合計する:
- 負荷Cまでの区間:5 A
- 負荷BからCの区間:5 A + 5 A = 10 A
- 負荷AからBの区間:10 A + 5 A + 5 A = 20 A
- 各区間の往復の抵抗は1線あたり0.1 Ωなので、0.1 × 2 = 0.2 Ωとなります。
- 区間ごとの電圧降下を計算します。
- 電源からAまで:20 A × 0.2 Ω = 4 V
- AからBまで:10 A × 0.2 Ω = 2 V
- BからCまで:5 A × 0.2 Ω = 1 V
- 電圧降下の合計は 4 + 2 + 1 = 7 V です。
- Vc = 210 V - 7 V = 203 V となります。
電圧降下を決定づける配線抵抗の基礎
単相2線式回路では、電流は往復の電線を通るため、電線1線あたりの抵抗値を2倍にして計算する必要があります。本問のように複数の負荷が直列に並んでいるような構成では、負荷に近い区間ほど流れる電流は小さくなり、電源に近い区間ほどすべての負荷の合計電流が流れるため、電圧降下が大きくなります。この現象を正しく理解するには、キルヒホッフの電流則(各点での流入出電流のバランス)を意識することが重要です。
段階的な電流算出の思考プロセス
問題を解く際は、末端の負荷から電源に向かって電流を積み上げていくとミスが少なくなります。
- 負荷Cの先には電流は流れませんので、線路を流れる電流は負荷Cの5 Aのみです。
- 負荷Bの区間には、負荷B自身の5 Aに加え、負荷Cへ向かう5 Aも流れているため、合計10 Aとなります。
- 負荷Aの区間には、負荷A自身の10 Aに加え、負荷BとCへ向かう計10 Aも流れているため、合計20 Aとなります。
このように、負荷が分散している回路では、電源に近い箇所ほど電流の負担が大きく、結果として電圧降下も激しくなるという電気配線の特性を把握することが、設計やトラブルシューティングの第一歩となります。
実務における電圧降下の重要性
この計算手法は、実際の電気工事における「電圧降下の許容範囲」を検討する際に不可欠です。電気設備技術基準では、受電点から負荷までの電圧降下を一定値以下に抑えることが定められています。電線が細すぎたり、配線距離が長すぎたりすると、負荷Cのように末端の機器にかかる電圧が低くなり、機器の性能低下や誤作動を引き起こす可能性があります。
本問のような構造を理解しておくことは、幹線設計において「どの区間の電線を太くすべきか」「負荷をどのように配置すれば電圧降下を均一化できるか」という実務的な判断を支える強力な知識となります。