令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 問36 解説 平均力率の測定
需要家の月間などの1期間における平均力率 を求めるのに必要な計器の組合せは。
- イ.電力計 電力量計
- ロ.電力量計 無効電力量計 ✓ 正答
- ハ.無効電力量計 最大需要電力計
- ニ.最大需要電力計 電力計
解説
平均力率は一定期間の有効電力量と無効電力量の比率から求めます。この問題を解くための判断根拠は、力率(cosθ)の定義式にあります。力率は「有効電力 / 皮相電力」ですが、一定期間の積算値から算出する場合、以下の関係式を利用します。
この式からわかる通り、平均力率を算出するには、期間内の有効電力量を測定する電力量計と、無効電力量を測定する無効電力量計の2つの数値が不可欠です。
平均力率算出のメカニズム
力率を直感的に理解するには、電力のベクトル図を思い浮かべることが近道です。有効電力(kW)を横軸、無効電力(kvar)を縦軸にとると、斜辺となる皮相電力(kVA)との間で直角三角形が形成されます。
一定期間で合計された有効電力量(kWh)と無効電力量(kvarh)は、この電力ベクトル図を時間積分したものとみなせます。つまり、期間の総括的な力率を知るためには、三角形の底辺である有効成分と、高さにあたる無効成分の両方の記録が必要になるのです。
なぜ他の選択肢ではいけないのか
電力計や最大需要電力計は、ある瞬間の数値や、特定の期間内のピーク値を示すための計器です。これらは「現状の負荷状態」を把握するには適していますが、期間を通じた平均的な状態を算出するための積算値を得ることはできません。
例えば、電力計は「いま何kW使っているか」を示す計器であり、期間全体の総使用量を記録する電力量計の役割とは明確に異なります。試験では「瞬時値を測るもの」と「積算値を測るもの」を混同させようとする出題が多いため、それぞれの計器が何を記録するためのものかを整理しておくことが重要です。
現場における平均力率の重要性
実務において平均力率が重要視される最大の理由は、電力会社の基本料金(力率割引・割増制度)に関係するからです。多くの高圧電力契約では、力率が85%を上回ると基本料金が割引され、下回ると割増料金が適用されます。
工場やビルなどの需要家にとって、力率を改善することは無駄な電流を減らして電気料金を削減することに直結します。そのため、検針員が確認する電力量計や無効電力量計の数値から、その月の力率を計算し、進相コンデンサの投入台数を調整するなどの運用が行われています。この問題は、電気設備の経済的な運用という実務現場のニーズを背景にした、非常に実践的な知識を問うています。