令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 問37 解説 絶縁抵抗測定
「電気設備の技術基準の解釈」において、 停電が困難なため低圧屋内配線の絶縁性能を、 使用電圧が加わった状態における漏えい電流を 測定して判定する場合、使用電圧が200Vの 電路の漏えい電流の上限値[mA]として、適切 なものは。
- イ.0.1
- ロ.0.2
- ハ.0.4
- ニ.1.0 ✓ 正答
解説
この問題は、電気設備に関する技術基準の知識を問う、いわゆる「暗記系」の問題です。漏えい電流による絶縁性能の判定は、停電させて絶縁抵抗計(メガー)が使えない場合に行われる例外的な測定方法であり、その上限値は電圧の種類によらず一律「1mA以下」と定められています。したがって、問題文に「使用電圧200V」という数字が出てきますが、これは計算に使うものではなく、ルールを知っているかを問うための条件付けに過ぎません。答えは即座に「1.0mA」を選択します。
漏えい電流による判定が認められる背景
本来、電路の絶縁性能は絶縁抵抗計を用いて測定するのが原則です。しかし、工場や病院、データセンターなど、24時間稼働が求められる施設では、点検のために停電させることが非常に困難です。
そこで、電気設備の技術基準の解釈では、絶縁抵抗計による測定が難しい場合に限り、使用電圧が加わった状態で漏えい電流を測定し、その値が1mA以下であることを確認することで、絶縁性能が確保されているとみなす規定を設けています。この1mAという数値は、人体への感電リスクを考慮した非常に重要な安全基準です。
試験問題を解くための考え方
試験本番では、この問題を「迷わず選べるか」が時間短縮の鍵になります。
- 問題文のキーワードを抽出する:「低圧」「絶縁性能」「漏えい電流」「測定」。
- ルールの引き出しを開く:漏えい電流による絶縁性能の判定上限値は、使用電圧に関係なく「1mA」である。
- 選択肢を照合する:迷わず「1.0」と書かれた選択肢を選ぶ。
もしここで「200Vだから計算が必要かな?」と迷ってしまうと、本来不要な計算式を頭の中で組み立てるという時間ロスが発生します。技術基準の問題は、数値とセットで覚えるべき「例外規定」が頻出します。「停電不可のときは1mA」というワンフレーズをセットで記憶に定着させることが合格への近道です。
実務現場における絶縁管理の意義
この知識は、実際にビルメンテナンスや電気工事の現場で非常に頻繁に活用されます。
多くの事業所では、設備を止めることができないため、クランプ式漏えい電流計を用いて、回路のトータル漏えい電流を定期的にチェックします。例えば、管理している分電盤で漏えい電流が1mAを超えてきた場合、それは「絶縁抵抗が低下し始めている兆候」です。
技術基準では「1mA以下」が合格ラインですが、実務では「昨年までは0.2mAだったのに、今年は0.8mAに増えている」といった変化の推移を確認することで、絶縁破壊による停電事故を未然に防ぐ予知保全が可能になります。試験対策としての数値暗記は、現場で安全を守るための判断基準を養っているのだと捉えておくと、学習のモチベーションにも繋がります。