第一種電気工事士試験 / 令和5年度 学科試験 / 問10
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令和5年度 学科試験 問10 解説 電動機の出力計算

巻上荷重W[kN]の物体を毎秒v[m]の速度 で巻き上げているとき, この巻上用電動機の 出力[kW]を示す式は。 ただし, 巻上機の効率はη[%]であるとす る。

  1. イ. 100W・v / η ✓ 正答
  2. ロ. 100W・v^2 / η
  3. ハ. 100ηW・v
  4. ニ. 100ηW^2・v

解説

出力を求める基本式と単位の換算

この問題を解くためのポイントは、物理の力学における仕事率の公式と、電気工学特有の単位変換を正しく組み合わせることです。出力 PP [kW] は、以下の手順で導き出されます。

  1. 仕事率の基本単位での式:P=F×vP = F \times vFF:力 [N], vv:速度 [m/s])
  2. 単位を [kN] と [kW] に合わせるための変換:
    • 力の単位を [N] から [kN] にするには 10310^3 を掛けます。
    • 仕事率の単位を [W] から [kW] にするには 10310^{-3} を掛けます。
    • 結果として、力 [kN] と速度 [m/s] を用いると、P=(W×103×v)×103=W×vP = (W \times 10^3 \times v) \times 10^{-3} = W \times v [kW] となります。
  3. 効率 η\eta [%] を考慮する:
    • 効率は百分率(パーセント)で与えられているため、計算式に用いる際は小数に変換する必要があります。η\eta [%] は η/100\eta/100 となります。
    • 損失を考慮して入力側を大きくする必要があるため、効率で割ります。
    • 最終式:P=W×vη/100=100×W×vηP = \frac{W \times v}{\eta / 100} = \frac{100 \times W \times v}{\eta}

物理的な力のつり合いと効率の考え方

電動機(モーター)で物体を巻き上げる場合、電動機が消費する電力は、物体を持ち上げるための物理的な仕事率(機械的出力)よりも大きくなる必要があります。これは、機械内部での摩擦や熱損失といった「損失」が存在するためです。

効率 η\eta は、「出力」と「入力」の比率(出力/入力=η/100\text{出力} / \text{入力} = \eta/100)で表されます。したがって、電動機に必要な入力(求めるべき消費電力)を求める際は、機械的出力 W×vW \times v を効率 η/100\eta/100 で割り戻すという考え方が重要です。もし効率が低い(分母が小さい)ほど、同じ仕事をするにもより大きな電力を消費しなければならない、という関係性が式から読み取れます。

実務における電動機の選定と計算の意義

第一種電気工事士の試験において、こうした計算式が問われる背景には、現場で適切な電動機を選定するための「容量計算」の基礎を問う意図があります。

実際の工事現場や設計の現場では、単に物理量を求めるだけでなく、負荷の変動や始動時のトルク、さらには長期的な電気料金の試算などを行う必要があります。この問題で問われている「効率を考慮した電力算出」は、省エネ設計の第一歩です。効率の悪い古いモーターを使い続けることによる損失コストや、適切な容量のモーターを選択することで得られる節電効果などを検討する際に、この式はまさに判断基準となるツールなのです。

試験で問われるのは基本的な変換式ですが、実務ではこれに「負荷率」や「運転時間」を掛け合わせ、年間消費電力量を算出するような場面へと発展します。基礎的な物理法則と単位変換を疎かにしないことが、電気設備技術者としての信頼に直結します。

参考リンク

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