令和5年度 学科試験 問12 解説 照度の性質
照度に関する記述として, 正しいものは。
- イ. 被照面に当たる光束を一定としたとき, 被照面が黒色の場合の照度は, 白色の場合の照度より小さい。
- ロ. 屋内照明では, 光源から出る光束が2倍になると, 照度は4倍になる。
- ハ. 1m^2の被照面に1lmの光束が当たっているときの照度が1lxである。 ✓ 正答
- ニ. 光源から出る光度を一定としたとき, 光源から被照面までの距離が2倍になると, 照度は1/2倍になる。
解説
照度の定義式 (照度=光束/面積)を正しく理解しているかが問われる問題です。この式を軸に、各選択肢を論理的に判定することで正解を導き出せます。
照度の基本定義
照度の定義は、1平方メートル()の面に対して、1ルーメン()の光束が均一に照射されているときの明るさを1ルクス()と定めています。選択肢ハはこの定義そのものを示しているため、正しい記述となります。
各選択肢の誤りの理由
なぜ他の選択肢が誤りであるのか、物理法則に基づいて整理します。
イ:被照面の「色(反射率)」は、その面が反射する光の量には影響しますが、そこに「当たっている光の量(照度)」には一切関係ありません。照度はあくまで光源から被照面に降り注ぐ光束の密度で決まります。
ロ:照度は光束に比例します。光源から出る光束が2倍になれば、被照面に届く光束も比例して2倍になります。4倍になるという記述は誤りです。
ニ:距離と照度の関係は「逆二乗の法則」に従います。光源から被照面までの距離を とすると、照度は距離の2乗に反比例するため、 となります。したがって、距離が2倍になると照度は 倍に減少します。
照度計算の構造と実務的意義
この問題は、照明設計における最も基礎的な物理量を問うものです。第一種電気工事士として現場で照明設備を扱う際、単に「明るさ」という感覚的な指標だけでなく、数値としての照度を理解することは不可欠です。
例えば、工場やオフィスなどの照明設計を行う場合、JIS照明基準に基づいて必要な照度が定められています。設計者は「どの程度の光束を持つランプを選び、それをどのような間隔・高さで配置すれば、作業面に必要な照度を確保できるか」を計算します。このとき、距離の2乗に反比例するという法則は、天井高さが変わった際の照度変化を予測するために極めて重要な概念となります。
また、反射率に関する誤解は現場でもよく見られます。黒い壁紙の部屋と白い壁紙の部屋では、同じ照明器具を使っても「見た目の明るさ(輝度)」は異なりますが、「照度計で測定する値」は同じになります。このような光学的性質の違いを理解しておくことは、照明トラブルやレイアウト変更時のクライアントへの説明においても非常に役立ちます。