令和6年度 下期 学科試験 問49 解説 直列リアクトルの役割
⑨で示す機器の役割として,誤って いるものは。
- イ. コンデンサ回路の突入電流を抑制する。
- ロ. 電圧波形のひずみを改善する。
- ハ. 第5調波等の高調波障害の拡大を防止する。
- ニ. コンデンサの残留電荷を放電する。 ✓ 正答
解説
直列リアクトルと放電コイルを見分ける判断基準
この問題は、高圧受電設備においてコンデンサ回路に直列に接続される「直列リアクトル」の役割を問う定番問題です。
誤りを選ぶための決定打は、選択肢ニにある「放電」というキーワードです。コンデンサに蓄えられた電荷を放電するための機器は「放電コイル(DC)」であり、直列リアクトル(SR)の役割とは明確に区別されています。この点に気づけば、他の選択肢を詳細に検討せずとも即座に正解にたどり着くことができます。
直列リアクトルが担う機能
直列リアクトルは、コンデンサの容量と回路のインダクタンスによって生じる種々の問題に対処するために設置されます。試験で問われる主な役割は以下の3点です。
第5調波による障害の抑制 電力系統には、整流器やインバータなどの非線形負荷から第5調波(250Hz)が発生します。コンデンサを単独で接続すると、系統のインダクタンスとコンデンサの容量で共振回路が形成され、高調波電流が増大してしまいます。これに対し、コンデンサに直列にリアクトルを接続することで、合成インピーダンスを誘導性にし、共振を回避して高調波の拡大を防ぎます。
突入電流の抑制 コンデンサ投入時には、回路に過渡的な大きな突入電流が流れます。直列リアクトルはこのインピーダンスによって、投入時の衝撃電流を抑え、開閉器の接点保護やコンデンサの劣化を防ぐ役割を果たします。
電圧波形の改善 高調波を抑制することで、電圧波形のひずみを抑え、正弦波に近い安定した電圧を供給することに寄与します。
試験問題の意図と構成
この問題は、高圧受電設備において「似たような場所にある機器」の役割を混同していないかを問うています。コンデンサに関連する機器として、以下の二つはセットで登場することが多いため、実務上の役割を整理しておく必要があります。
- 直列リアクトル:回路の電気的特性(インピーダンス)を調整する。
- 放電コイル:安全のために電荷を逃がす。
試験では「直列リアクトルの役割として適切なものはどれか」という出題も多いため、上記の機能をセットで覚えておくと、どの選択肢が正解・不正解になっても対応可能です。また、これらの知識は保守点検の際、どの機器がどのような物理現象を制御しているかを理解する基礎となります。現場でトラブルが起きた際、電圧ひずみが問題なのか、あるいは残留電荷による感電リスクへの対処なのかを切り分けるための重要な理論的背景となっています。