第一種電気工事士試験 / 令和6年度 上期 第一種 学科試験 / 問5
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令和6年度 上期 第一種 学科試験 問5 解説 三相交流回路の消費電力

設問図

図のような三相交流回路において, 電源 電圧は200V, 抵抗は4Ω, リアクタンスは 3Ωである。回路の全消費電力[kW]は。

  1. イ. 4.0
  2. ロ. 4.8
  3. ハ. 6.4 ✓ 正答
  4. ニ. 8.0

解説

この問題は、三相交流回路における1相分の電力消費量を求め、それを3倍することで解決します。手順は以下の通りです。

  1. 1相あたりのインピーダンス Z=42+32=5ΩZ = \sqrt{4^2 + 3^2} = 5\,\Omega を求める。
  2. スター結線の相電圧 Vp=2003VV_{p} = \frac{200}{\sqrt{3}}\,\text{V} を利用し、回路に流れる電流 I=VpZ=200/35=403AI = \frac{V_{p}}{Z} = \frac{200 / \sqrt{3}}{5} = \frac{40}{\sqrt{3}}\,\text{A} を算出する。
  3. 1相あたりの消費電力 P1=I2R=(403)2×4=16003×4=64003WP_{1} = I^2 R = (\frac{40}{\sqrt{3}})^2 \times 4 = \frac{1600}{3} \times 4 = \frac{6400}{3}\,\text{W} を計算する。
  4. 全消費電力 P=3×P1=3×64003=6400W=6.4kWP = 3 \times P_{1} = 3 \times \frac{6400}{3} = 6400\,\text{W} = 6.4\,\text{kW} と導き出す。

スター結線における電圧とインピーダンスの役割

三相交流回路の計算で最も重要な点は、線間電圧と相電圧の関係を正しく把握することです。今回の回路のように、各負荷が中心点に向かって接続されている「スター結線(Y結線)」では、電源の線間電圧 200V200\,\text{V} がそのまま各相にかかるわけではありません。負荷の1相には、線間電圧を 3\sqrt{3} で割った値が相電圧として印加されます。

また、リアクタンス(コイル成分など)がある回路では、抵抗のみの場合と異なり、電流と電圧の間に位相差が生じます。しかし、今回のように「消費電力」のみを問う場合は、リアクタンスは電力を消費しない(有効電力に寄与しない)ため、実数成分である「抵抗」のみを考慮すれば良いという性質があります。

電力を求めるための思考プロセス

問題を解く際には、回路全体を俯瞰して考えるよりも、「1つの相」に注目して切り出すのが近道です。

まず、図から「スター結線」であることを読み取り、全体の電圧を各相の電圧へと変換します。次に、インピーダンスの計算(ピタゴラスの定理)を行い、そこからオームの法則を用いて相電流を求めます。最後に、電力の基本式である P=I2RP = I^2 R に当てはめることで、間違いを防ぎながら着実に答えへたどり着くことができます。

全体を一度に計算しようとすると式が複雑になりがちですが、このように「1相ずつ処理する」という方針を立てることで、試験本番の緊張した状況でも落ち着いて計算を進められるようになります。

この知識が役立つ現場の視点

この問題の構成は、三相誘導電動機や三相ヒーターなどの設備設計・保守を行う際の基礎となります。たとえば、工場内の動力設備を設置する際、定格電圧とインピーダンスからどれだけの電力が消費され、どの程度の電流が配線を流れるかを予測することは必須のスキルです。

また、電路の選定や過電流遮断器の容量を決める際にも、これらの計算式がそのまま応用されます。理論上の計算値と実際の負荷の状態を関連付けて理解しておくことは、資格試験合格のためだけでなく、将来的に電気設備の安全性を維持するための重要な素養となります。

参考リンク

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