第一種電気工事士試験 / 令和6年度 上期 第一種 学科試験 / 問7
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令和6年度 上期 第一種 学科試験 問7 解説 配電線路の電力損失とコンデンサ

設問図

図のように三相電源から, 三相負荷(定格電 圧200V, 定格消費電力20kW, 遅れ力率0.8) に電気を供給している配電線路がある。配電 線路の電力損失を最小とするために必要な コンデンサの容量[kvar]の値は。 ただし, 電源電圧及び負荷インピーダンスは 一定とし, 配電線路の抵抗は1線当たり0.1Ωで, 配電線路のリアクタンスは無視できるものと する。

  1. イ. 10
  2. ロ. 15 ✓ 正答
  3. ハ. 20
  4. ニ. 25

解説

配電線路の電力損失を最小にするためには、線路を流れる電流を最小にする必要があります。電流を最小にするには、負荷の力率を1(改善)にするのが最適です。以下の手順で計算します。

  1. 負荷の無効電力を求める 力率 cosθ=0.8cos\theta = 0.8 のとき、無効率 sinθsin\theta0.60.6 です。 無効電力 Q=P×sinθcosθ=20×0.60.8=15 [kvar]Q = P \times \frac{sin\theta}{cos\theta} = 20 \times \frac{0.6}{0.8} = 15 \text{ [kvar]}

  2. コンデンサ容量の決定 遅れ無効電力をすべて打ち消すために、コンデンサ容量を 15 [kvar]15 \text{ [kvar]} とすれば力率は1となります。

力率改善と電力損失の関係

線路における電力損失 PLP_L は、線路電流を II、抵抗を rr とすると、単相でも三相でも基本的に PL=nI2rP_L = n \cdot I^2 \cdot rnnは線数)で表されます。ここで、負荷の有効電力を PP、電圧を VV とすると、電流 III=P3VcosθI = \frac{P}{\sqrt{3} \cdot V \cdot cos\theta} です。

この式を損失の式に代入すると、PLP_L は力率 cosθcos\theta の二乗に反比例することがわかります。つまり、力率が低い(1未満である)ほど、同じ電力を送るためにもより大きな電流が流れ、熱となって失われるエネルギー(損失)が増大します。損失を最小にするには cosθ=1cos\theta = 1 を目指せばよいことが数学的にも明らかです。

最適なコンデンサ容量を導く思考回路

この問題を解く際のポイントは、「電力損失の最小化=力率の改善」という等式を即座に導けるかにあります。

問題文に「配電線路の抵抗は1線当たり0.1Ω」と数値がありますが、これはあくまで「力率改善によって損失が減る」という現象を裏付けるための設定です。力率を1にするためのコンデンサ容量を求めるだけであれば、線路抵抗の具体的な値は計算に使いません。試験本番では、条件文に惑わされず、目的達成のために必要な物理量(今回は無効電力そのもの)だけを素早く抽出する冷静さが求められます。

実務現場における力率改善の重要性

この知識は、工場やビルなどの電気設備管理において極めて重要です。多くの電気機器(電動機など)は遅れ力率を持つため、そのままでは受電設備の容量を圧迫し、配線での電圧降下や電力損失を増大させます。

電力会社との契約においても、力率が低いと基本料金が割増しされる仕組みがあり、進相コンデンサを設置して力率を改善することは、省エネだけでなくコストダウンの観点からも必須の技術です。本問のような計算は、設置すべきコンデンサの容量を選定する際の基本計算として、現場の電気主任技術者や工事士が日常的に行う設計プロセスそのものです。

参考リンク

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