第一種電気工事士試験 / 令和7年度 下期 学科試験 / 問17
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令和7年度 下期 学科試験 問17 解説 揚水ポンプの動力

全揚程が H [m], 揚水量が Q [m³/s] で ある揚水ポンプの電動機の入力 [kW] を示す 式は。 ただし、電動機の効率を ηm, ポンプの効率 を ηp とする。

  1. イ. 9.8QH / ηpηm ✓ 正答
  2. ロ. 9.8ηpηm / QH
  3. ハ. 9.8Hηpηm / Q
  4. ニ. 9.8QHηpηm

解説

揚水ポンプの動力計算における鉄則

この問題は、ポンプが水を汲み上げるために必要な「エネルギーの変換」を数式で表すものです。電動機(モーター)が消費する電力(入力)を求めるためには、物理的に必要な仕事率を計算し、そこにポンプと電動機それぞれの「損失(効率の悪さ)」を考慮して補正する必要があります。

公式の形は、P=9.8QHηpηmP = \frac{9.8QH}{\eta_p \eta_m} となります。分子に物理的な仕事(9.8QH)、分母に効率の積(ηpηm\eta_p \eta_m)を置くと覚えると間違いありません。

物理的な仕事と効率の考え方

水(質量)を一定の高さまで持ち上げるために必要な理論上の仕事率は、単位時間に持ち上げる水の重さ(9.8×1000×Q9.8 \times 1000 \times Q)に高さ(HH)を掛けたものになります。ここで重力加速度9.8を使用し、水の密度を1000として整理すると、9.8QH9.8QH [kW] という項が導かれます。

しかし、実際のポンプシステムでは以下の二段階の損失が発生します。

  1. ポンプの効率(ηp\eta_p):モーターから受け取った回転エネルギーを水の移動エネルギーに変換する際のロス。
  2. 電動機の効率(ηm\eta_m):電気エネルギーを回転エネルギーに変換する際のロス。

これら二つの損失を補うためには、理論上のエネルギーをそれぞれの効率で割る必要があります。効率は1以下の数値であるため、割れば割るほど必要な入力エネルギーの数値は大きくなります。これは、効率が悪い機械ほど、より多くの電気を消費しなければならないという現実を数式で表しているのです。

数式の構造から解く手順

試験で迷った際は、次元(単位)や分数の仕組みを考えると答えが見えてきます。

まず、求めたい値は入力電力 [kW] です。選択肢を見ると、9.8QH9.8QH が分子にあるものと分母にあるものがあります。効率が低い(分母の数値が小さい)ほど、必要な入力電力は増えるはずですので、効率(ηp,ηm\eta_p, \eta_m)は分母になければ計算が合いません。

この思考プロセスにより、「効率の項は必ず分母に来る」と判断できれば、計算式を知らなくても正しい選択肢である「イ」を導き出すことができます。第一種電気工事士試験では、このような物理学的な感覚を問う問題がしばしば出題されます。

実務におけるエネルギー変換の視点

この問題の背景には、工場やビル管理における「省エネ設計」の考え方があります。ポンプ設備の更新を検討する際、単に「ポンプの性能」だけを見るのではなく、「モーターとの組み合わせ」で効率を考える必要があります。

例えば、インバータ制御を導入して回転数を調整することで、負荷に応じた最適なエネルギー供給を行い、無駄な電力消費を抑えるといった設計が可能です。この計算式は、設備の導入時だけでなく、実際の運用においてどの程度の電力量を見込むべきか、あるいはどのような機器を選定すれば効率よく揚水できるかを検討する際の基礎知識となります。

参考リンク

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