令和7年度 下期 学科試験 問28 解説 金属管工事
金属管工事の施工方法に関する記述として, 適切なものは。
- イ. 金属管に, 屋外用ビニル絶縁電線を収めて施設した。
- ロ. 金属管に, 高圧絶縁電線を収めて, 高圧屋内配線を施設した。
- ハ. 金属管内に接続点を設けた。
- ニ. 使用電圧が400Vの電路に使用する金属管に接触防護措置を施したので, D種接地工事を施した。 ✓ 正答
解説
金属管工事における正しい施工ルールを理解しているかが問われる問題です。この問題を解く鍵は、電線の種類、接続の可否、および接地工事の省略条件という3つの柱を正確に覚えていることです。
金属管工事で使える電線と使用場所のルール
金属管工事で収めることができる電線は、原則として「絶縁電線」です。ただし、屋外用ビニル絶縁電線(OW)は含まれません。OWは引込線のような屋外での架空配線用として設計されており、金属管内のような熱がこもりやすい場所での配線には適さないため禁止されています。
また、高圧屋内配線を金属管に収めることも可能ですが、その際は当然ながら「高圧用」の絶縁電線を使用しなければなりません。選択肢ロのように単に「高圧絶縁電線」と記載されているだけでは不十分であり、高圧配線の金属管工事には電磁的平衡を保つための特殊な条件(金属管を1条の電線に収めるなど)が必要ですが、そもそも高圧配線全般を無条件に金属管で施工できるわけではない点に注意が必要です。
管内での電線接続禁止という原則
金属管内に接続点を設けてはならないというルールは、故障時の点検や引き抜きが困難になることを防ぐためのものです。万が一、管内で短絡事故が起きた場合、接続点があるとそこが熱を持ち、火災に繋がるリスクが高まります。そのため、電線は必ずプルボックスやアウトレットボックスといった「接続可能な箇所」まで引き出し、そこで接続するのが鉄則です。
接地工事と接触防護措置の関係
金属管工事において最も頻出する引っかけ問題が接地工事に関するものです。
- 原則:低圧用の金属管にはD種接地工事を施す必要があります。
- 省略条件:対地電圧が150V以下の場合は省略可能ですが、150Vを超える場合は原則として省略できません。
- 接触防護措置:これは電路の接地(設備接地)の省略とは別の概念です。接触防護措置とは、人が容易に触れないように防護することを指しますが、これを施したからといって、金属管本来の保護機能である「漏電時に管を確実に帯電させ、保護装置を働かせる」ための接地工事が不要になるわけではありません。
選択肢ニの「400Vの電路」という点は重要です。400V級の電路では、人の接触リスクを減らすために接地は不可欠です。逆に、接触防護措置を施すことで「接地工事を省略できる」という規定は存在しないため、文脈を正しく整理して判断する必要があります。
この知識が現場で果たす役割
これらの規定は、単なる暗記項目ではなく「火災」と「感電」を防ぐための安全防壁です。
金属管工事は、機械的強度が非常に高く、電線を物理的損傷から守る優れた工法です。しかし、金属であるがゆえに、もし電線が劣化して管に接触した際、管自体が充電部となってしまいます。この時、接地工事が適切に行われていれば、漏電遮断器や過電流遮断器が動作し、回路を遮断します。もし接地が不完全であれば、その金属管に触れた人が感電する恐れがあります。
試験では「原則」と「例外」を問う問題が多いため、なぜその規定があるのか(火災防止か、感電防止か)という視点を持つと、現場での施工管理能力も同時に養うことができます。